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スタッフだより

科学館で働くスタッフを紹介します

科学館ってどんなところ? どんな人たちが働いているの? などなど、いろいろな角度から大阪市立科学館をご紹介します。

第134回 プラネタリウム。リニューアルの舞台裏

2019年3月1日

今回のスタッフだよりは、14年ぶりのプラネタリウムのリニューアルを担当している渡部学芸員に話を聞きました。

プラネタリウムのリニューアル工事がまもなく完了しますね。リニューアルするにあたって、どんなことを考えていたのでしょうか。


 星空は感動です。それを伝えるために、最適なプラネタリウムにしたいということです。また、その際、今までうまくいっていたことを伸ばすように考えました。
 ここ10年ほどのトレンドは満天の星の再現です。これはもちろん感動ポイントです。でも、それだけでなく、空が変化する様子の再現も重視しました。夕空、マジックアワーから一番星が輝きだす様子。毎日満ち、欠けていく月。位置を少しずつ変えていく惑星。季節でめぐる星座。そして、数時間しか見られない月食。予想もできない彗星や新星の出現。これは都会の星空、身近なところにも現れる感動です。星空は遠いところにだけあるのではなく、日常にあり、しかも一つ一つ、実にドラマチックです。プラネタリウムは、そうした星空のドラマを、いつでも自在に見せる装置と考えました。投影機を作るための仕様書には「地上で見られるあらゆる現象を再現することを究極の目標」と書き、一瞬だけでなく変化も含めた星空のリアリティを追及。そのポリシーをベースとしました。
 また、私たち解説者は、言葉を発さない天体の代わりに、何が見え、起こっているのかを紹介します。そして科学が解き明かしてきた天文現象の原理や意味を解説し、その楽しさ、価値を共有するためにプラネタリウムを操作しています。自在に見せるためには、自在に操れなければいけません。解説者がその場で操作して話す「ライブ解説」に向いた機器として作ってもらおうと考えました。これは、14年前のリニューアル以来、おかげさまで毎年35万人前後の方に観覧していただき、好評価もいただいている、専門スタッフによるライブ解説という大阪市立科学館の特徴を伸ばし、よい投影がしたいということでもあります。

なるほど、ただ、今までもうまく行っていたわけですよね。どうしてリニューアルなのでしょうか?

 はい、これまで使っていたプラネタリウム投影機インフィニウムL-OSAKAは、14年間、その仕事を果たしてくれました。ただ、さすがに老朽化は否めず、故障も多くなり、交換部品も入手が困難になりつつありました。時には投影を中止せざるを得ず、来てくださった方にも申し訳ないことも起こるようになっていました。また、星の明るさや運動についても本来の性能を発揮しづらくなっていました。
 そこで、大規模な改修か、新機種に交換するかという選択となり、むこう20年間のロードマップを引いたところ、コストと性能の両面で、いま新機種に交換したほうがよい。という結論になったのです。高輝度LEDをはじめとする、故障しにくく、かつ性能がよい新しい部品が使えるようになったためです。
 また、ライブ解説については、前回は操作性まで手がまわっていませんでした。というのは、前回は、大阪がほぼ日本で最初に光学プラネタリウムのデジタル全天投影機の同時操作というものを導入したからです。どう操作できるようにすればいいか、まったくの手探りで、そのため必要なハンドルやレバーが付いていないような状態だったのです。この14年に間に、そのあたりの技術も進歩してきており、ライブでの解説でも威力を発揮することが見込まれました。

今までの機械もしっかりはたらいてくれたけど、世代交代の時期になり、優秀な後輩にバトンタッチなんですね。そして、今まで以上によい解説ができるようになるよう、ちょうどいい機種を選択したのですね。

 いや、既製品でちょうどいい機種はこの世に存在しませんでした。一番の理由は、専門スタッフがライブ解説するという大阪市立科学館のスタイルにフィットしないのです。自動車にたとえるなら、私たちは家族旅行のためのワゴンがほしいのに、既製品は荷物を輸送するトラックという感じでした。

となると、特注になりますね。

 そうなんです。そのために、技術調査をして仕様書を書き、さらに自分達の使い勝手にあわせて、数多くのカスタマイズを行いました。メーカーも目が回るようなカスタマイズで、ベースになったインフィニウムΣ(シグマ)に対し、外観以外はかなりスペックが違う投影機となっています。名称はインフィニウムΣ-OSAKAですが、実質、"スーパー"インフィニウムΣといっていい内容です。目立つ特徴としては、大阪のために開発していただいた月食用の投影機があります。また、星の明るさとシャープさが各々50%増しになり、制御系の見直しでいままでの10倍ものスピードでもスムーズに月が運動するようになっています。

そのカスタマイズ作業はどのように行ったのですか?

 事前には、プラネタリウムを担当する学芸員でブレーンストーミング的にやりたいことを明確にし、アイデア出す合うようなこともしました。そして、メーカーが決まる前は、全メーカーにヒアリングをし、われわれのアイデアも伝え、世界のプラネタリウムの動向も調べて、可能性をさぐりながら、仕様書に落とし込みました。それに対してでてきたメーカー提案で、ある程度の姿は見えました。
 メーカーが決まってからは、写真のように、毎週のように顔を付き合わせ、図面を検討しながらブラッシュアップの会議を行いました。お互いに言葉を尽くして意図を共有し、メーカーだけでなく発注側もデータや資料を集め、学芸員はじめ館の知恵を集め、さらには方々にヒアリングし、場合によっては学術論文も読み込んで解決策をさぐりました。この間、メーカーの方だけでなく、非常に多くの方、科学館友の会のメンバーの方などにも技術的なアドバイスをいただきました。本当に感謝しています。お礼としましては、よい投影をすることでお返ししたいと思っています。



最後にひとこと

渡部義弥学芸員

多くの作業を経て、リニューアルするプラネタリウムは、星空を動き・変化も含めてのリアリティを高め、操作性もこれまでにないものに仕上がってきています。高いポテンシャルを生かせるように、メーカーから引き渡された後こそ勝負だと思っています。みなさんと一緒に、よいプラネタリウム体験ができるように頑張ろうと思っています。最初の番組「星の光景ベスト10」では、その特徴のお披露目にもなる内容です。リニューアルしたらぜひ、プラネタリウムを見に来ていただければと思います。

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