スタッフだより

第55回 金環日食

2012年5月8日

いよいよ5月21日(月)、大阪では282年ぶりに観測される金環日食の日が近づいてきました。大阪市立科学館では、当日、金環日食の観望会を開催します。 今回のスタッフだよりは、金環日食について江越学芸員に話を聞きました。

金環日食はどうして起こるのでしょうか?

日食とは、太陽-月-地球が一直線に並ぶことにより、月が太陽を隠す現象のことです。このとき、月の見かけの大きさが太陽に比べて少し小さいため、太陽の縁の部分だけがまるで指輪のリングのように見えることがあります。これが金環日食です。

金環日食が起こる仕組みを上の図に示しました。でも実は、この図はあまり正確なものではありません。月までの距離はおよそ38万km、地球の直径の30個分も離れています。ですから本当は、月と地球は下の図ぐらい離れたところにあるのです。これを見たら、日食がいかに珍しい現象か分かるのではないでしょうか。

どのようにして見たらいいでしょうか?

大阪での日食の経過は下図のようになります。特に指輪のような太陽を見ることができるのは、7時30分の前後およそ2分半の間だけです。朝早いですから、寝坊しないようにしましょう。

なお太陽はまぶしいので、たとえ金環となった太陽であっても、直接肉眼で見ることはできません。太陽を直接見ることは失明の恐れもあり大変危険です。必ず日食観察用めがねを用いて観察しましょう。日食観察用めがねは、本屋さんや家電量販店などで販売されています。もちろん、科学館のミュージアムショップでも販売しています。
また、木漏れ日の影を見るなど、間接的に太陽の欠け具合を知る方法があります。詳しくは科学館ホームページの金環日食特集ページを参照してください。

さらに詳しくは

現在プラネタリウムでは、「神秘の太陽 金環日食」という番組を投影しています。実際の大阪の空を再現して、当日の金環日食の経過の様子を見どころとともに紹介しています。一足先に事前にプラネタリウムで体験して、実際の金環日食に備えましょう。
また、「金環日食ガイドブック」(100円)という小冊子を科学館ミュージアムショップにて販売しています。大阪での見え方や、観察方法を詳しく紹介していますので、よろしければこちらもお求めください。

プラネタリウムの一場面

金環日食ガイドブック

気になるお天気は?

 

(←昨年5月21日の天気図(気象庁提供))
春は偏西風に乗って低気圧や高気圧が移動するため、周期的に天気が変わりやすくなります。
図は「昨年の」5月21日の天気図です。東北地方に前線がかかっていますが、22日はこの前線が本州を南下し、各地で雨となりました。23日には九州南部で梅雨入りが発表されています。昨年の近畿地方の梅雨入りは5月26日ごろでした。ただ、これは例外的に早い梅雨入りで、近畿地方の梅雨入りの平年値は6月7日頃となっています。
また昨年と一昨年の大阪の5月の毎日の降水量について、グラフにしてみました。ここ2年ほどは5月の後半に雨が降る傾向にあります。

大阪の5月の降水量(2011年・2010年)

さらに、過去10年ほどさかのぼって、5月21日朝の大阪の天気を調べてみました。

雲量とは、雲が空の何割を占めているかを示す数字です。雲が全くない時は0、全天が雲で覆われている時は10となります(0+はほんのわずか雲がある状態、10-はほんのわずか隙間がある状態を示します)。
これを見ると、当日晴れるかどうかは五分五分といったところでしょうか。

最後にひとこと


江越学芸員

日食は、太陽・月・地球が織りなす神秘的な現象であり、まさに我々が宇宙の一員であることを感じさせてくれるものです。大阪で見ることができるのは、一生に一度の機会になるでしょう。晴れることを、皆で祈りましょう。 また、科学館でも当日朝7時~8時の間、金環日食観望会を開催いたします。お近くの方、会社が近い方は、ぜひお越しください。


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