スタッフだより

第91回サイエンスショー「赤青緑の光サイエンス」

2015年8月2日

 今回のスタッフだよりは、サイエンスショー「赤青緑の光サイエンス」の制作を担当した小野学芸員に話を聞きました。
国際光年の今年、サイエンスショーでも「光」を中心に据えたサイエンスショーを行います。その第1弾として行っているのが、8月30日まで行う「赤青緑の光サイエンス」です。これは、光の3原色の実験です。 

 

物の色

 私たちが、物の様々な色が分かるのは、光の中にいろいろな色が混ざっていることが理由の1つです。
その色についても2つの見え方があり、ひとつは自分自身は光らず、電球や太陽光などの光が反射吸収しているものを見ている場合。もう一つは光の色を直接見ている場合があります。
前者の例で説明すると、写真や衣服や食べ物など、いろいろなものに色がついて見えるのは、太陽や電球の光の中に混ざっている様々な光の色が吸収されたり、反射して色が見えているためです。
夏に採れる真っ赤なトマトで見てみましょう。トマトの赤い部分は、光の中の赤色以外の光が吸い込まれてしまい、残りの赤色だけが、はねかえってきて私たちの目に赤色の実を見せてくれています。

また、今皆さんが見ているであろうパソコンのモニターも、いろいろな色が見えますね。これは、先に書いた光の反射とは違い、モニター画面が光っているのです。しかも3色だけで。写真は、モニターの白く光っている部分を拡大したものです。
このようにパソコンの白い部分を拡大してみると、赤青緑の光がみえるようになってきます(15倍の倍率のルーペで拡大し、それを画像処理ソフトで拡大)。

この赤青緑が光の3原色と呼ばれる色です。
今回のサイエンスショーは、この後者の「光の3原色」について、頭の体操となるような実験をし、ショーを見ている皆さんとのやりとりを楽しんでいます。

 例えば、用意した赤・青・緑の光をそれぞれ混ぜたらどうなるのか?という問題。よく最初に聞くのが、赤と青の光の足し算です。小学生の皆さんからは、元気に「むらさき!」と答えが返ってきます。本当に紫?と聞きながら、色を足し合わせていくと、実は少しピンクがかった、赤紫色(マゼンタ)が出来上がります。

光の3原色

他の色も確認していくと、青と緑の組み合わせが一番以外のようです。この組み合わせの場合、水色(シアン)が出来上がります。
光の3原色の混ぜ合わせでどのような色ができるのか、図で示しておきますが、ここで、それぞれの光の明るさを変えると、また違った色を作ることができます。例えば、パソコンのモニター上で色調整をする場合、R(赤)G(緑)B(青)で設定すると、0-255の256段階で変えることができるのは、画像処理ソフトを使ったことがある方ならご存知かもしれません。この数字を変えることで赤青緑の光の明るさが変わり、色が変わります。サイエンスショーでも1つだけですが、緑色の明るさを暗くして、そこに赤色を混ぜると何色になるかということで確認しています。

影の色は?

 光と言えば影。人生は光と影のあざなえる縄のごとし…、などと人生観のことを考えてもらうのではなく、光と影の関係でも実験を行っています。周りに光があれば、影ができます。その影の色は、黒ですね。では、赤や青、緑色の光の影は何色でしょう?こう質問をすると、大人の方が一瞬「?」という顔になります。突拍子もない質問ですしね。でもご安心ください、皆さんのよく知っている「黒」の影ができます。

影の実験中

 では、赤と青の混ざった赤紫色の影は…?普通に考えたら、「黒」です。しかし今回のサイエンスショーは、赤青緑とそれぞれ1台ずつ光源を用意して光を出しているのです。ここからが、頭の体操になります。結構小学生の皆さんがついてきてくれて、頭が柔らかいなぁと思うことしきりです。
皆さんも、ぜひ、ここで頭の体操をして欲しいと思います。最後に赤青緑を合わせた白色光のところで光を作ると、どんでん返しが…。

RGBと目の関係

 サイエンスショーでは実験進行の関係上、あまり詳しくは説明していないのですが、私たちの目には、光を受け取るための細胞が4種類あります。大きく分けると杆体細胞(かんたいさいぼう)と錐体細胞(すいたいさいぼう)の2つに分けられます。このうち杆体細胞は、簡単に言うと明かるか暗いかを判断しています。ただ、色については情報がなく、例えば暗いところでものの形は分かるけれども色が分からないというのは、この杆体細胞で物を見ているからです。
そして、錐体細胞は、色を判断する細胞で3種類あり、おおよそ、赤・青・緑の色を判断する細胞として目に存在しています。
以上4つの細胞で私たちは物の色や形を判断しています。そして今回の実験では、前半で、光の色の足し算引き算と、影を使った赤青緑そして白色光の関係を見ているわけなのですが、それを踏まえて、錐体細胞の一つを疲れさせることで、どんなことが起きるのかという実験を行っています。

 例えば赤色の光を見続けると、赤色の錐体細胞が疲れてきます。その後、白い光を見ると一瞬ですが、私たちの目では、青と緑の錐体細胞で色を判断するようになり、(白)―(赤)=?という色が見えます。逆の言い方をすると、
(青)+(緑)=という色です。

 単純な赤い光だけでなく、ヒマワリの絵も色づいて見えます。
青い花びら、薄紫の葉、ちょっと気持ち悪いヒマワリ写真ですが、これを10秒程度眺めた後、白黒のヒマワリ写真を見ると、この白黒写真に色がついて見えるという実験も行います。

とても感動します。ある意味、生きている実感があるかもしれません(笑)。

最後にひとこと


小野昌弘学芸員

今回の実験は主に、光の3原色の意味するところ、そしてそれが私たちの目に大いに関係していることを実感してもらう内容です。 ぜひぜひ、科学館にお越しいただき、皆さんにその感動を感じてほしいです。 8月30日まで演示をしていますので、一度といわず、何度もご覧いただければ幸いです。くわしい投影スケジュールはこちら
小野の化学のホームページ


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