主な所蔵資料

大阪市立科学館は、科学系博物館として1989(平成元)年10月に開館しました。天文学、化学、物理学を専門とする学芸員は、関連する資料の収集活動を行っており、現在では2000点を超える資料を収蔵しています。
その中には、コッククロフト・ウォルトン型加速器、大阪市の指定文化財であるカールツァイスⅡ型プラネタリウム投影機(1937年)をはじめ、科学史上重要な資料も含まれています。

主な所蔵資料

レギオモンタヌス『アルマゲスト概要』 (1496年)

受入番号:2008-21

15世紀のドイツの天文学者レギオモンターヌス(ヨハネス・ミューラー、1436~1476)の著書。2世紀ローマ時代の学者プトレマイオスが著した天文学書『アルマゲスト』のギリシア語版をラテン語に翻訳した抄訳版。

ボイル『懐疑的化学者』(第二版) (1680年)

受入番号:2008-17

イギリスの物理学者ロバート・ボイル(1627~1691)の著書。この世にある化合物は、基本となる単一な微粒子すなわち元素からなっていて、その元素の種類は数多くあるということを実験研究によって確証し、近代的な元素の概念を提唱した書物である。

『王立協会学術紀要』90号第2巻 (1800年)

受入番号:2013-17

イギリスの科学学会である王立協会が発行する論文雑誌(The Philosophical Transactions of the Royal Society)の1800年発行分を合冊したものである。この中には、ウイリアム・ハーシェルによる赤外線発見に関する論文や、アレッサンドロ・ボルタによるボルタ電池の発明を発表した論文など、科学史上重要な論文が含まれる。

ラボアジェ『化学要論』(1798年)

受入番号:2008-18

18世紀のフランスの化学者アントワーヌ・ラボアジェ(1743~1794)の著作。気体の生成分解、塩基や酸、塩の結合、化学の実験器具や操作法などを述べ、質量保存の法則を示した書物で、「化学の革命」を起こしたとも評される。

コッククロフト・ウォルトン型加速器

受入番号:2006-53

1934年、菊池正士らが旧大阪帝国大学に設置した日本初の加速器の一部。この装置は60 万ボルトの高電圧を発生させることができ、水素や重陽子を加速して重水にぶつけ、発生した中性子を使って原子核の性質を研究に使った。戦後も大阪大学で使われた。

学天則(復元)

受入番号:2008-117

東洋初のロボットといわれる「学天則」の復元模型。オリジナルは大阪毎日新聞の学芸顧問で生物学者でもあった西村眞琴が製作し、動力源に圧縮空気を用い、生き物らしい動きを目指して作られた。1928年から各地を巡回したが、ドイツに渡った後に行方不明になったとされ、オリジナルは現存しない。本資料は現存する少ない資料を元に、当館学芸員が2008年に復元したものである。

光電子増倍管(2点)

受入番号:1994-1266 2001-51

ニュートリノという素粒子を検出するために使われるもの。岐阜県にある検出器「カミオカンデ」で使用されたもの(左)と「スーパーカミオカンデ」で使われていたもの(右)。

トランジスタラジオ リージェンシーTR-1 (1954年)

受入番号:1998-32

世界初のトランジスタ式のラジオ。テキサス・インスツルメンツ社製の接合型トランジスタを4個使用している。1950年代前半、世界でトランジスタ式ラジオの量産をめざした開発がさかんに行われたが、本機がその先駆けとなった。

トランジスタテレビ SONY TV8-301 (1960年)

受入番号:2008-23

8インチのブラウン管式白黒テレビ。世界初のオールトランジスタテレビで、小型化、軽量化が図られ、本体上部には取っ手が付けられているなど、持ち運びと個人ユースが意識された作りとなっている。

タイガー計算器 (1960年頃)

受入番号:1994-1204

手回し式の計算機。本体は歯車等を組み合わせたもので、ハンドルを回すことにより、さまざまな計算を行うことができる機械。タイガー計算器は国産の機械式計算機で、1920年代から1970年頃に広く市販され普及した。

パーソナルコンピュータNEC PC-8001 (1979年)

受入番号:1998-37

1979年に発売された8ビットパソコン。本体はキーボードと一体化していて、これにモニターや記憶媒体(フロッピーやカセットテープレコーダー)、プリンタなどを接続して使用する。比較的安価で発売され、個人のホビーユースとしても人気を博した。

渋川春海 『天文分野之図』(1677年)

受入番号:1995-18

江戸時代の天文学者渋川春海(1639~1715)が刊行した星図。描かれた星座は、当時の日本で使われていた中国流の星座である。表題にある「分野」とは天文占の考え方の一種で、天空の領域を分割して、地上の各地域を対応させたものである。

ギベオン隕石

受入番号:2006-135

アフリカのナミビアに落下した隕石で、細粒オクタヘドライトに分類される鉄質隕石。切断面に見える格子状の構造は「ウィッドマン・ステッテン構造」といい、細粒オクタヘドライトの隕石がゆっくり冷えた時にできる特有の結晶構造である。

星座早見盤 (1942年)

受入番号:1992-15

日本で最初に刊行された星座早見盤。日本天文学会が編集したもので、初版は1907年9月に発行されている。その後も版を重ね、本資料は、1942年発行の第67版である。

カールツァイスⅡ型プラネタリウム(大阪市指定文化財) (1937年)

受入番号:1994-1236

ドイツの光学機器メーカーであるカールツァイス社製のプラネタリウム投影機。本資料は大阪市立電気科学館の開館時に設置された機械で、1989年の閉館まで52年間稼動した。日本で初めて導入されたプラネタリウムとして、2000年12月に大阪市指定文化財に登録された。

電気科学館ポスター (1943年)

受入番号:1994-451

電気科学館の宣伝ポスター。1943年頃に発行されたもの。

電気科学館イラスト(手塚治虫氏)(1987年)

受入番号:1994-407

1987年の電気科学館開館50周年を記念して、漫画家の故手塚治虫氏が科学館に寄贈したプラネタリウムのサイン入りイラスト。

バックスタッフ

受入番号:2014-24

航海の際、自船の位置を知るのに用いられた装置で、太陽を背にして水平線からの太陽高度を測定する。17世紀頃から使われており、まぶしい太陽を直接見ずに測定できる利点があった。

クロススタッフ

受入番号:2014-25

ヤコブの杖とも呼ばれた測量機器。太陽の水平線からの高度や、2つの天体間の角距離を測定する。測量術のほか、航海術においても自船の位置を知るための天体観測に使用された。

ノクターナル

受入番号:2014-23

「星時計」とも呼ばれる天体観測機器。こぐま座のベータ星の位置を観測することにより、現在の時刻を知ることができる道具。主に航海用で使用された。

オクタント

受入番号:2014-32

八分儀とも呼ばれる天体観測機器で、主に航海する船が自船の位置を知る際に、天体の地平線からの高さや、2つの天体間の各距離などを測定するのに使われた。

宇宙服(複製)

受入番号:1994-451

宇宙飛行士が船外活動で使用する船外活動ユニット(EMU)のレプリカ。宇宙飛行士を宇宙環境から保護し、生命を維持しながら安全に船外活動が行えるようにする。14層ものさまざまな最新の合成繊維で構成されており、一番外側はゴアテックスとノーメックスの混紡で、宇宙空間での熱と微小隕石などの衝突に耐えられるようになっている。

セルロイド製キューピー人形 (1940年頃)

受入番号:2006-2

セルロイド製の人形。セルロイドはニトロセルロースに硝酸、樟脳をまぜて作る半合成プラスチックの一種。成型が容易なことから、19世紀末から20世紀中ごろまで様々な製品に使われたが、燃えやすいのが欠点であった。

沈香

受入番号:2012-19

沈香は香木の一種。ジンチョウゲ科の樹木の、枝の折れた部分の周辺や、傷のついたところにバクテリアの作用で樹脂が蓄積してできたもの。火であぶるとよい香りが出る。

享保大判 (江戸時代)

受入番号:2008-51

江戸時代の1725(享保10)年から1837(天保8)年に発行された金貨の一種。元禄の改鋳で純度を落とした大判を、慶長大判の品質にまで戻した良質の大判。重量は約165.5グラム(44匁)。組成は、金67.6:銀32.4であった。

ダイヤモンド八面体型自然結晶

受入番号:2011-13

ダイヤモンドは、炭素原子が規則正しく配列した結晶である。この資料では、ダイヤモンドの結晶の面が正三角形になっており、また結晶の尖った所に注目すると、一つの頂点に正三角形の面が4枚集っていて、正八面体の形になっている。

ガリレオ『天文対話(初版)』(1632年)

受入番号:2008-20

イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイ(1564~1642)の著書。3人の人物による対話形式により、天動説と地動説について論じている。この本の出版後、ガリレオは本書で地動説を論じたとしてローマのカトリック教会から問題視され、いわゆる宗教裁判を受けることになる。そして本書も裁判の判決時に禁書処分となっている。

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