プレスリリース

科学館が「モバイル・プラネタリウム」を導入

大阪市立科学館では、平成18年10月、国内最大級のモバイル(移動式・簡易)・プラネタリウムを導入しました。 導入したモバイル・プラネタリウムは日本初導入のアルゼンチン製で、市販品としては最大級。国産製品にはない簡易性や運用の柔軟性を活かし、市民の学習の 場を充実させていきます。なお、初公開は12月のOSAKA光のルネサンスの一出展として行う予定ですが、この件については詳細が決まりしだい別途リリー スする予定です。

お導入したモバイル・プラネタリウムの特徴

大導入したのは、アルゼンチンのASTRONOMIA EDUCATIVA S.R.L.社製の簡易プラネタリウムとドームスクリーン一式(直径7m、高さ4.5m)です(写真)。ドームスクリーンが7mというのは国内に導入され ているモバイル・プラネタリウムとしては最大級です(別表1参照)。

本格的な大型固定プラネタリウムに比べ機能は限られ、星空の再現性は見劣りしますが、小学校で学ぶ「天体の動き」や「星座の探し方」の解説をするには十分な能力です(別表2参照)。
また、機能が単純な分、操作も簡易になるメリットもあります。パソコンCGを使ったデジタル式に比べ軽量なうえに壊れにくく、壊れたとしても修理が容易です。安定運用にはかかせない要素です。
そして、モバイル・プラネタリウムの最大の特徴は移動できることです。システムはワゴン車に積み込んで運搬でき、体育館のようなスペースがあれば数十分間で設置、運用できます。これは欧米では広く使われているスタイルです(別表3参照)。 ​

導入効果ならびに活用法

これらの機種の特性を利用して、いままでプラネタリウムが利用できなかった場面での活用が可能になります。たとえば 天体観望会では星の見える屋外に近接した場所に設置することで、プラネタリウムで見つけた星をすぐに実際の空で確認することができるなど高い学習効果が期 待できます。
また、院内学級など館への来訪が困難な方への出前などで学習機会を確保することも可能になります。 さらに、一般的なイベントなどへの協力を通じて、ふだん科学にあまり関心をもたれない方へのキャンペーンも行えるなど、館外でも活動できる効果は大きいものがあります。

市民も参画した運用、館外プラネタリウムスタッフとの協働

また、科学館ではこのプラネタリウムについては教育活動として運用することも構想しています。このシステムは機能が 限られている分取り扱いも簡単なので、星空の解説法を学べば、運用も行えます。自分が学んだことを他人に説明するのは効果的な学習法です。今後運用するス タッフの育成を教育事業として展開していくなど、運用への市民参画をはかっていく予定です。
一方、イベントへの出展など高い解説技術レベルが要請される場合は、科学館の学芸員のほかプロの解説者が解説を行います。館の外で活動を行うため、こうした協働が行いやすいという利点があります。

<表1>日本のモバイル・プラネタリウム

2006年10月現在、大阪市立科学館で把握しているもの

施設 機種(方式・生産国) ドーム直径
収容人数
重量ほか 備考
大阪市立科学館 AE・CUBEX (光学式・アルゼンチン) 7m・30~80人 70kg
倉敷サイエンスセンター (岡山) ソニー・スタープロジェクター(光学式・日本) 4m・20人 100kg JST地域科学館連携支援事業
西脇経緯度地球館 (兵庫県) コニカミノルタ・メディアグローブ(デジタル式・日本) 5m・40人 1200kg JST地域科学館連携支援事業
余市宇宙科学館(北海道) コニカミノルタ・メディアグローブ(デジタル式・日本) 5m・40人 1200kg JST地域科学館連携支援事業
四日市市立博物館 (三重県) アストロアーツ・ステラシアター(デジタル式・日本) 4m・22人 500kg JST地域科学館連携支援事業
和歌山大学(和歌山県) 五藤光学&太陽工業・どこでもプラネタリウム(光学式・日本) 4m・21人 100kg
逓信総合博物館(東京都) スターラボ (光学式・アメリカ) 4.7m・35人 100kg 20年以上前からイベントに使用
ウィルシステムデザイン (山梨県) 自作オリジナル (光学式・日本) 2.6m・21人
3m・21人
50kg
工房ヒゲキタ(石川県) 自作オリジナル (光学式・日本) 3m・10人
4m・25人
50kg
函館プラネタリウム同好会 (北海道) 自作オリジナル (デジタル式・日本) 6m・40人 中央小学校保護者有志
大平技研(神奈川県) 同社・メガスターI (光学式・日本) 10m・50人ほか 500kg CF登場等で有名
<表2>大阪市立科学館のモバイル・プラネタリウムと大型固定プラネタリウムとの比較
機能・スペック モバイル・プラネタリウム 大型固定プラネタリウム
生産国 アルゼンチン共和国 日本国
メーカー ASTRONOMIA EDUCATIVA S.R.L. コニカミノルタプラネタリウム
機種名 CUBEX AR-1 インフィニウムL OSAKA
ドーム直径・高さ 7m・4.5m 26.5m・13.25m
収容人数 パイプいす30人
なしで大人50人 子ども80人
リクライニングシート320人
映像表現 星の数 △5.5等星まで2000個(2/3天分) ○6.55等星まで9100個(全天分)
星の像 △必要最低限の品質 ○極めてよい 自然にまたたく
星の色 ×表現なし・モノクロ ○6色で自然に表現
惑星・太陽・月 △マンガ的表現・固定 ○リアルに表現・自在に運動
夕焼けなど × ○リアルに表現
天の川 × ○35万個の星で精密に表現
星座絵 × ○20星座絵を内蔵
補助投影機 1コマ星座投影機; 全天CG映像装置、マルチスライド、ビデオプロジェクターなど多彩
運動能力 日周運動
世界の星空 △北半球の特定箇所で固定 ○他惑星での表現も可能
過去・未来の星空 △前後100年程度で固定 ○前後1万年で自在に移動
プログラム機能 ×なし ○高度なプログラム機能
操作 かんたん 非常に難しい
基本機能を覚えるのに数ヶ月。 全機能を把握に経験者でも数年以上
重量・移動 ○3箱で計70kg・家庭用電源200W ワゴン車で移動可能 ×ドームは建築物・投影機は数トンで据付。特殊電源必要。移動は不可能

<表1>日本のモバイル・プラネタリウム

2006年10月現在、大阪市立科学館で把握しているもの

固定 プラネタリウム モバイル・ プラネタリウム 総数
アメリカ 802 550 1352
日本 347 3 350
フランス 35 128 163
中国 90 3 93
ドイツ 75 14 89
イタリア 35 53 88
イギリス 38 33 71
ロシア 50 0 50
インド 31 1 32
スウェーデン 11 21 32
スペイン 24 7 31
メキシコ 26 4 30
ブラジル 26 4 30
カナダ 17 12 29
韓国 21 0 21
アルゼンチン 4 6 10
ノルウェイ 2 8 10

表1と日本のモバイル・プラネタリウムの数がちがうのは年度の違いおよび統計のとりかたの違いによりますが傾向はかわりません。

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