プレスリリース
科学館が展示リニューアルにむけ貴重な資料を収集しました ―6月19日(木)に報道関係者向け資料内見会を行います―
(c)「はやぶさ」大型映像制作委員会2009
大阪市立科学館では、7月18日(金)の展示場リニューアルに先立ち、多数の企業・個人のご協力の下、500点を超える資料を収集してまいりましたが、 この6月までに作業がほぼ終了しました。いわゆる理工系の科学館が展示のために多数の資料を収集するのは珍しいことです。
収集した資料は、宇宙服、2トンの岩塩、天然の結晶、大判や金貨などの貴金属標本、33000V用の送電鉄塔、アルミのインゴット、消防服に使われるハ イテク繊維ザイロンなどです。また昭和30~50年代の懐かしい家電製品も多数収集しました。総点数は500点を超えます(添付一覧表の通り)
これら収集資料は、展示場リニューアル時にはケースに入れ、解説とともに常設展示いたします。ただ、これは何も飾らずにみても実物、本物ならではの魅力、迫力があります。また、多くは身近なものである資料をみていると、おもわず一言語り出したくもなります。
そこで今回、展示での公開に先立ち、これら資料の存在と魅力を広く知っていただくため、6月19日(木)午後2時30分より報道関係者向けに、主要な資料の内見会を行います。
図は内見会で公開する資料の一部
ページ右上:ハイテク繊維を宇宙服のレプリカ
ページ左下:33000V級送電鉄塔、右下:アルミのインゴット
中段左から、虹色発色するチタン製のカップ、水晶クラスター、シェラックの原料・スチックラック
内見会出展予定資料
下記のほかにも資料を展示する予定です。
結晶・鉱物
アメジストカペーラ
紫水晶が石の内部で成長したもの
巨大水晶
大きな水晶が何本もはえるクラスターと約60cmの巨大結晶
ラブラドライト
内部の結晶の作用できれいな色が出る石
2tの岩塩
ポーランドヴェリチカ (世界遺産の塩鉱山)産 重さ約2.1t
金属
享保大判・新20円金貨
金を67%含有する大判と金を90%含有する明治時代の硬貨
アルミニウムインゴット
アルミニウムの塊
チタン製カップ
素材であるチタンが虹色に発色しているカップ
プラスチック
ポリカーボネート製防護盾
自衛隊の盾 耐熱・耐衝撃性を持つプラスチック
シェラックの原料
昆虫(ラックカイガラムシ)が作るプラスチックのシェラックの原料。シェラックは食品のコーティングなどに使われる
繊維
ザイロン繊維
金色の繊維、引張りにとても強い、新しい繊維
宇宙服(レプリカ)
ロシアの宇宙服。テフロンやナイロンの化学繊維でできている
発電送電
33000V級送電鉄塔
展示のために新規に製作した送電鉄塔の実物の一部
家電製品
世界初のトランジスタテレビ
SONY TV8-301
昭和29年の白黒テレビ
ゼネラル17T-6
(参考)科学館と科学博物館、そして展示手法
科学館は美術館、民俗資料館などとともに、博物館の一種です。大阪市立科学館は、博物館法の下、文部科学省の登録博物館(全国865館、うち自然科学系は69館)となっています。
ただし、一般に科学館は、その展示手法について一般的な博物館と違う特徴を持っています。それは、資料を陳列ケースに並べたり壁に掲示したりする資料展示ではなく、多数の実験装置をならべ科学の原理や法則を体験する手法をとっていることです。
その違いから、欧米では実験装置を中心に展開する科学館のことをscience center、資料展示を中心に展開する科学博物館を science museum と明確に分けています。 大阪市立科学館 展示場
大阪市立科学館の前身の大阪市立電気科学館は1937年、日本で初めて科学館というコンセプトで開館した施設でした。科学館で展開する資料展示
実験装置や資料をさわる体験をからめた展示手法は大成功をおさめ、現在ではハンズ・オンといわれてい ます。ハンズ・オンは、科学館はもとより、歴史や民俗、自然の博物館、美術館などでも広く取り入れられています。大阪市立科学館もハンズ・オンを推し進め て支持を受けてきました。
一方、資料展示もハンズ・オンとは違うよさがあります。まず、資料はいつまでも価値を持ち続けます。また、本物である迫力や魅力は多くの人を引きつけます。さらに資料にまつわる物語から社会と科学の関わりも見えてきます。
知識や関心はあるが、機器操作を遠慮する大人の方や、小学生とは違う体験がしたい中・高生にとっては、じっくりとモノにむきあえる資料展示が歓迎されることがあります。
そこで、今回、従来から人気のある展示装置とあわせ、多数の資料を集めて展示することにしました。大人の知識が生かされ、そこから会話がはじまり、学ぶ楽しさをどの世代も味わえるよう展示場を大幅に改訂します。
さらにこれらの科学技術の資料は非常に失われやすいものですが、科学館が収集し展示することで次の世代に継承され、また他館等への資料貸し出しを通じ、広く全国に発信するものへとなることも他館での展示にもいかされていくと考えています。
資料の収集方法
資料収集には、購入、寄贈、拾得、製作、交換など様々な方法があります。今回は、貴重な資料を多く収集するために、科学 館の学芸員のコネクションと交渉力を最大限活用し様々な業者から資料を買い付けてきたほか、企業から多数の資料を寄贈していただきました。特に繊維、ハイ テク材料については、在阪企業を中心に貴重なサンプルを多数寄贈していただきました。
また、巨大な送電鉄塔を展示場内で製作することも行われました。身近で行われている科学の現場を収集することもできたわけです。