プレスリリース
大阪市立科学館:企画展 渋川春海と江戸時代の天文学 -「天地明察」の時代- を開催します
大阪市立科学館では、平成24年9月4日(火)~10月21日(日)に、企画展『渋川春海と江戸時代の天文学-「天地明察」の時代-』を開催します。
本展は、江戸時代の天文学者、渋川春海(しぶかわはるみ)の業績と江戸時代の天文学を、実物資料など30点の資料で紹介するもので、現存最古の渋川春海の肖像画、春海が刊行した全ての星図がそろうのは初めてです。
また、平成24年9月公開の渋川春海が主人公として登場する映画「天地明察(てんちめいさつ)」に使われている道具類も展示します。
渋川春海は、将軍に仕える碁打ちでしたが、独自に天文学と数学を修めました。そして、その知識を使って日本初の国産暦の発行や、日本独自の星座の制定な ど、日本の天文学に大きな業績を残しています。展示では渋川春海の人物像と、背景になる江戸時代の天文学の世界を読み解きます。
また、期間中には講演会等も実施します。
開催概要
1 名称 | 渋川春海と江戸時代の天文学 -「天地明察」の時代- |
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2 日時 | 平成24年9月4日(火)から10月21日(日)まで 午前9時30分~午後5時 |
3 場所 | 大阪市立科学館 展示場4階東側、地下1階アトリウム 〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-1 (最寄駅)地下鉄四つ橋線「肥後橋駅」3号出口 京阪中之島線「渡辺橋駅」②出口 電話:06-6444-5656 ファックス:06-6444-5657 ホームページhttp://www.sci-museum.jp/ |
4 料金 | 地下1階アトリウムについては、無料 展示場4階東側については、展示場観覧料でご覧になれます。 大人400円(320円)、高大生300円(240円) ※()内は30名以上の団体割引料金 ※中学生以下・市内在住の65歳以上(要証明書提示)・障害者手帳等をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料 |
5 主催 | 大阪市立科学館 |
6 協力 | 映画「天地明察」製作委員会、(公財)大阪市博物館協会、大阪歴史博物館、京都大学 |
展示の概要
【第一部:日本人と暦】
江戸期の暦
大自然の中で生活する私たちが、規則正しい生活リズムを決める指標となるのが「暦」です。このコーナーでは、日本の暦の歴史を紹介し、人々が使っていた暦に関する資料を展示します。
【主な展示資料】
暦の版木(明治期)
江戸~明治期の暦(当館蔵)、
暦を印刷する版木(当館蔵)、
日本の暦年表パネル
【第二部:渋川春海】
渋川春海 肖像画
渋川春海は、もと安井算哲といい、幕府の碁打ちの仕事をするかたわら天文学を学びました。改暦を成功させた後は初代の幕府天文方に就任します。春海は生涯 に3点の星図を刊行しました。本展ではそれらを一堂に展示します。このコーナーでは、著作や研究の参考にした書物を通じて、春海のプロフィールと業績を紹 介します。
【主な展示資料】
渋川春海が著した星図
『天象列次之図』(1670年刊)
渋川春海肖像画(個人蔵)、
渋川春海伝記(個人蔵)、
「天文分野之図」(当館蔵)、
「天象列次之図」(個人蔵)、
「天文成象」(個人蔵)、
「貞享暦」(大阪歴史博物館蔵)、
「古今交食考」(京都大学蔵)
【第三部:春海後の日本の天文学】
西洋新法暦書
渋川春海以降、日本の天文学は発展していき、やがて西洋からの天文学を取り入れることにより非常に正確な暦が作られるようになりました。このコーナーでは、渋川春海以後の時代に行なわれた江戸時代の天文学を概観します。
【主な展示物】
「西洋新法暦書」(当館蔵)、
明治6年太陽暦(当館蔵)
【第四部:映画「天地明察」撮影道具展】
天体観測機器「象限儀」高さ約2.5メートル
平成24年9月に全国公開の映画「天地明察」に撮影で使用された、天体観測機器などの道具類を展示します。
左より「授時暦」、「大和暦」、天球儀
いずれも映画で使用した道具類。
関連イベント
1.講演会「天文方の祖・渋川春海実録」
江戸時代に、わが国最初の国産の暦「貞享暦」を作成した渋川春海は、江戸幕府で天文学をつかさどる役職「天文方」に初めて就任した人物です。わが国最初の 本格的な天文学者ともいうべき渋川春海はどのような人物なのか、その業績をはじめとした実像に迫ります。
講 師: | 宮島一彦(中之島科学研究所・科学史) |
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日 時: | 9月17日(月) 午後2時30分~午後4時まで |
場 所: | 大阪市立科学館 研修室 |
定 員: | 0名(応募者多数の場合は抽選) |
対 象: | 中学1年生以上 |
参加費: | 無料 |
申込み: | 往復はがきに、住所、氏名、年齢、電話番号を明記のうえ 〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-1 大阪市立科学館「渋川春海講演」係まで ※ 申込〆切:9月5日(水)必着 |
2.ギャラリートーク
企画展の会期中に、担当学芸員ほかにより、複数回のギャラリートークを予定しています。詳細が決まりしだい科学館ホームページなどでお知らせします。
ギャラリートーク(イメージ)
≪連携展示≫
本企画展に関連し、大阪歴史博物館では次の展示を予定しております。
名 称
「町人天文学者間重富の天文観測と暦」
期 間
平成24年8月29日(水)~10月29日(月)
場 所
大阪歴史博物館 9階常設展示室
用語解説
渋川春海(1639-1715)
渋川春海(もとは、安井算哲)は、日本で初めて国産の暦を作り上げた江戸時代の天文学者です。渋川春海は、幕府碁方という職業のかたわら天文学を学びまし た。そして、自ら天体観測も行い、中国の暦を日本の天象に合うように改良し、国産初の暦「貞享暦」を作り上げました。なお、江戸初期の棋士としても高く評 価されており、2012年に日本棋院の囲碁殿堂入りが決まっています。
天地明察
「天地明察」は、天文学者、渋川春海の活躍を描いた冲方(うぶかた) 丁(とう)の時代小説です。2009年に刊行されるや、第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞を受賞。天文学者が主人公の作品としては異例のベストセラーになりました。
また「天地明察」は、滝田洋二郎監督、岡田准一、宮﨑あおいの出演で映画化され、9月より全国公開されます。
江戸時代の天文学と暦
江戸時代の天文学は、主に暦(いわゆる旧暦)をつくることを目的に発達しました。旧暦は月の満ち欠けで日付を決め、太陽の動きで季節を知るしくみでした。 そのため、暦作りの際は、精密な天体観測を行ない、天体の運動を明らかにするという、天文学の知識が必要とされました。