プレスリリース

ユネスコ世界天文年2009公認特別事業 ガリレオの本など稀覯天文書を一斉公開 12月26日(金)に報道関係者向け内見会、 1月4日(日)に学芸員による一般向け説明会を行います

大阪市立科学館では、平成21年(2009年)1月4日(日)より年末まで、ユネスコ世界天文年2009の公認企画として400年前にガリレオが著した書籍など、所蔵する稀覯天文古書を一斉公開いたします。公開は書籍の状態などをみながら科学館の展示場4階にて行います。あわせて関連展示を行います。



ガリレオ・ガリレイ「天文対話」(初版)の扉。3大科学者のアリストテレス、プトレマイオス、コペルニクスが描かれた扉絵は、初版本にのみ掲載。

公開する書籍は、500年前~200年前に著された西欧書籍5点6 冊。地動説と天動説について書かれたガリレオの「天文対話」のほか下表の通りです。これらは、地球が宇宙の中心とする天動説から、地球が動いているとする 地動説に変遷した近代天文学成立を物語っており、文字通り“世界を動かした”書籍です。
なお、公開開始の1月4日(日)には、午後1時30分と午後3時30分から各20分程度、天文学史を専門とする嘉数学芸員による解説を行います。
さらに、12月26日(金)午後3時より報道関係者向け内見会を行い、書籍の説明と直接撮影の機会を設けます。

公開予定の稀覯天文書(発行年順)

著者「書籍名」 発行年 内容
レギオモンタヌス「アルマゲスト概要(初版)」 1496年 2世紀ローマ時代の学者プトレマイオスが著し、天動説の体系を説明する天文学書「アルマゲスト」のラテン語抄訳。訳者のレギオモンタヌス(ヨハン・ミューラー)は中世を代表するドイツの天文学者。1000年以上信じられていた天動説に基づき、精密な天文暦を作成した。
ガリレオ「天文対話(初版)」 1632年 ガリレオが、自身の天体観測から確信に至ったコペルニクスの地動説を、当時広く信じら れた天動説との対比しながら、対話形式で表現した本。一般人が読めるイタリア語で書かれてベストセラーとなった。一方で天動説を奉じていたキリスト教会に 危険視され、宗教裁判の火だねとなり禁書となった。
ティコ・ブラーエ著作集 1648年 思弁的だった中世の天文学を、実際の自然を観測して法則を解き明かす現代的自然科学に導いたデンマークの天文学者ティコの著作を集成したもの。彼の望遠鏡発明以前で最高の観測データが、ケプラーの惑星運動の法則を生み、ニュートンの万有引力の法則を導くことになる。
ホイヘンス「発見されし宇宙世界(初版)」 1698年 土星の環が描かれた世界で最初の本。オランダの科学者ホイヘンスが、天体望遠鏡を改良して見えてきた世界を発表した書籍。
ラランド「天文学(初版)」(2冊) 1764年 近代天文学の標準的教科書。太陽や惑星の位置を現代と同様な理論で精密計算する方法が書かれている。オランダを通じて日本にも持ち込まれ、大阪の私塾、先事館で研究された後に江戸時代の「寛政の改暦」の基礎となり、伊能忠敬の日本地図作りの測量にも使われた。

参考資料:大阪市立科学館の概要

名称 大阪市立科学館
英語名称 Osaka Science Museum
テーマ 「宇宙とエネルギー」
設立 1989年(平成元年)10月7日 設置者 大阪市
※関西電力株式会社が、建物および展示設備を寄贈(65億円分)
※前身の大阪市立電気科学館は1937(昭和12)年3月13日設立で日本初の科学館・プラネタリウム館
住所 大阪市北区中之島4丁目2-1
電話 06-6444-5656
ファックス 06-6444-5657
URL http: //www.sci-museum.jp/(パソコン・携帯電話両用)
館長 髙橋憲明(たかはし のりあき)
大阪大学名誉教授(物理学)
観覧料金
展示場

大人:400円  高校・大学生:300円  中学生以下:無料

プラネタリウム

大人:600円  高校・大学生:450円  中学生以下:300円

オムニマックス映画

大人:600円  高校・大学生:450円  中学生以下:300円
※団体(30人以上)は各2割引

展示場

面積約3000㎡ 展示点数約200点(平成20年改装)
参加体験型の「ハンズオン」展示と「資料」展示の両方を展示
展示場内のサイエンスショーでは学芸員が実験を毎日3~4回演示し、科学解説を行う。

プラネタリウム

ドーム直径26.5m(大きさ世界5位・世界最大級)、
座席数320、20度傾斜
実際の空を精密に再現した「ミュージアムグレード」のプラネタリウム(平成16年製)と迫力ある映像を作る全天デジタル動画装置(デジタルスカイビュー)(平成16年製)
天文学者の学芸員5人が機器を操り、身近な星空から最先端の話題までわかりやすく投影

オムニマックス映画

プラネタリウムと同じドームに映写する世界最大の映画
通常映画の4倍のサイズフィルムを使用し、大型スクリーンに精細な映像を再現。映像の中に入り込んだような「没入感」を味わえ、圧倒的な迫力がある。

教育事業

友の会:会員1000名以上の友の会では月刊うちゅうを発行
天体観望会、化学実験教室、講座など各種イベント・教育事業を随時開催

研究事業

博士号を持つ研究者が5人など12人の研究職員(館長、学芸員)が、天文学、物理学、化学、科学史、教育学などの各分野とその科学館への応用などを研究。論文や学会などでの発表、執筆活動などのほか、資料の充実や展示、プラネタリウム等への展開を行っている。

資料収集

大阪市指定文化財ツァイスII型プラネタリウムをふくめ、大正~昭和初期の電気器具、エジソン電球につかわれた竹、天文学デジタルデータなど1万点以上の資料を持つ

参考:世界天文年について



世界天文年日本委員会キャラクター「ガリレオくんと仲間たち」

2009年は、イタリアの科学者ガリレ オ・ガリレイが望遠鏡を夜空に向け、宇宙への扉を開いた1609年から、400年の節目の年です。これを記念し、国際連合、ユネスコ(国連 教育科学文化機関)、国際天文学連合は、この2009年を「世界天文年(International Year of Astronomy:略称 IYA)」と定めました。
ガリレオは、400年前、発明されたばかりの望遠鏡を、世界で初めて夜空に向けることを思い至り、数々の発見をしました。

月にクレーターがあること。木星に衛星が あること。天の川は多数の星でできていること。金星も満ち欠けをすること。目に見えない星があることなどです。それまでの宇宙観を革命的に変えたこれらの 発見を、ガリレオは熱狂的に著書「星界の報告」で述べています。ガリレオは、それまで神の世界だった天空を、人間が理解できる世界に変え、本当の地球の姿 を宇宙的視点で捉えられるようにしたのです。
2009年は1年中「宇宙 … 解き明かすのはあなた」をスローガンに、世界の100を超える地域で、天文学者、教育者、天文ファン、そして子どもから大人まで多くの人々が、現代ならで はの天文学的知識と、様々な手法で宇宙を見つめ、楽しめるような活動が行われます。科学館も今回の稀覯本の公開を皮切りに様々な事業を行っていきます。そ れらは詳細決定し次第ご紹介して参ります。

世界天文年に関する内外の企画(一部抜粋)
企画名 内容
プラネタリウム番組の公開 各地でプラネタリウムの特集番組が公開されます。
科学館では平成20年12月6日より「世界天文年 2009特別企画「ガリレオ ~望遠鏡が拓いた驚異の宇宙~」を公開中です。
「君もガリレオ」プロジェクト ガリレオが作ったのと同等の天体望遠鏡を自作し、夜空をみようという講座。世界的には10ドル~30ドル望遠鏡プロジェクト。科学館での実施は未定。
めざせ1000万人!みんなで星を見よう! 日本全国で、のべ1000万人の人に直接、あるいはプラネタリウムなどで宇宙を観てもらおうというプロジェクト。科学館ではプラネタリウム、観望会の開催などで積極的に参加。より多くの市民に天体をみてもらう機会を広げる。科学館はプロジェクトリーダーとして参画。
日本天文学会創立100周年記念・世界天文年2009巡回企画展 ガリレオ以来、人類が宇宙を探ってきた歩みについて広く市民に紹介を行う企画展で す。天文学の発展の歴史、および観測技術の発達とそれによってもたらされた宇宙像の変遷について紹介します。また、その展示にあわせて講演会等も計画して います。東京、仙台、名古屋、そして大阪市立科学館(2009年12月予定)を会場に行われる。
日食関連プロジェクト 日本の陸地で46年ぶりにみられる皆既日食を観察するプロジェクト。日食観察キッ トの制作と配布や、日食のインターネット中継などが行われる。科学館では観測隊を船で派遣し、大阪では部分日食を見る観望会を開催、また安全に日食を観察 できる保護メガネの販売を予定している。
アジア 星の神話・伝説プロジェクト アジア各地の星の伝承や神話などを収集し、書籍を刊行するプロジェクト。科学館はプロジェクトリーダーとして参画。
Dark Skies Awareness: seeing in the dark(美しい夜空への想い) 都市への人口集中が原因で、世界的に星が見えなくなっている中、どれほど星が見えているのかを調べるプロジェクト。科学館では、環境省の星空調査と冬と夏に実施予定。
Cosmic Diary: the life of an astronomer(天文学者のブログ) 天文学者の日常(家族や趣味なども)をブログで紹介するプロジェクト。科学館は参加未定。
The World at Night: one people, one sky(世界中の夜空) ある日、世界中の夜空の写真を同時に撮影し、ひともとに集めるプロジェクト。科学館は参加未定。

国内企画は、世界天文年日本委員会ホームページ
海外の企画は、各国の世界天文年ホームページを参照のこと

参考:ガリレオとその発見について



(C)世界天文年2009日本委員会、国立天文台、高部哲也(リブラ)

ガリレオ・ガリレイ(1564年~1642年)は、イタリアの科学者で、数々の発見をした人物として知られています。機械時計の先駆となる振り子の等時 性の発見。ものの重さと落下速度は本来無関係であることの証明が有名です。ガリレオは、一貫して再現できる実験や観測によって理論を実証する態度をとって います。これは近代科学の基礎であり、ガリレオが嚆矢とされます。ゆえにガリレオを「科学の父」と表現することもあります。

2009年はこのガリレオが、世界で初めて望遠鏡を夜空に向けた1609年から400年となることを記念して世界天文年2009と定められています。
ガリレオは、オランダで望遠鏡が発明されたという情報を得、自ら望遠鏡を作成しました。オペラグラスと同様の構造を持つ手作りのもので、倍率は10倍から 30倍程度で何台も作られました。いずれも現在の水準からいえば、子どもの工作物にも劣る粗末なものでした。
しかし、ガリレオはこれらの望遠鏡を使って1609年末から1610年にかけて、空前絶後の天文学的発見ラッシュをします。その様子は1610年3月13日に発行された「星界の報告(岩波文庫より邦訳が出版)」に述べられています。

  1. 完璧なはずの月にはクレーター(でこぼこ)がある
  2. すべての星が地球を中心に回るはずなのに、木星を回る衛星が見える
  3. 金星が満ち欠けをし、大きさも変わる
  4. 神の星のはずの太陽にはシミのような黒点がある
  5. 天の川は無数の星でできている。
    プトレマイオスが星は1022個の星しかないとしているのに
  6. 昴(すばる)、オリオン星雲などにも、目で見えない暗い星がたくさんある

これらは、現在ならノーベル賞が何回もとれるような大発見です。そしてこれら発見をベースに、ガリレオは地動説を確信し、歴史的な書籍となった「天文対 話」(今回初版本を公開)を出版することになるのです。新たな道具=望遠鏡の出現が、見えなかったものを見えるようにし、それまでの常識をくつがえしたわ けですが、何より大切なのは、その道具を夜空にむけたガリレオの態度です。
今日でも、天文学者は、宇宙の真理を追究するために、高度に発達した望遠鏡を駆使しています。そればかりでなくX線や電波、赤外線など人間には感知でき ない電磁波で宇宙の様子を観測し、ロケットにより宇宙探査機を月や惑星に送ったり、コンピュータによるシミュレーションで宇宙の誕生や進化を調べたりと、 様々な手段を駆使しています。そして、ガリレオ同様、宇宙の驚異を次々に明らかにしていっています。
国連のユネスコと世界天文学連合が提唱する世界天文年は、このような時代に、世界中の一人ひとりをガリレオのように宇宙の発見者とし、驚異の宇宙の姿を 多くの人と共有し、楽しもうという年です。古来人類が、そしてガリレオがそうしてきたように、宇宙に目を向けることで、まったく新しい視点や知識が得ら れ、世界が変わっていくことをこの年を契機に見直そうという願いが込められています。

参考: プラネタリウム番組 ガリレオ ~望遠鏡が拓いた驚異の宇宙~  公開中

400年前、人類で初めて天空を望遠鏡で見たガリレオ・ガリレイ。その驚きと感動はどのようなものだったのでしょうか? そして現在まで、望遠鏡は私たち にどんな宇宙の姿を見せてきたのでしょうか。望遠鏡で宇宙を見る「驚き」と「感動」を追体験する、オリジナルプラネタリウム番組を公開中です。あわせてそ の日の星空やトピックスも生解説で紹介しています。

期間

平成20年12月6日~平成21年2月28日 時刻 10、12、14、16時より各20分間(変更の場合あり)

料金

大人600円 高校・大学生450円 中学生以下300円  各回先着300名


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