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スタッフだより

科学館で働くスタッフを紹介します

科学館ってどんなところ? どんな人たちが働いているの? などなど、いろいろな角度から大阪市立科学館をご紹介します。

第109回 「星図の描き方」

2017年2月2日

今回のスタッフだよりは、「星図の描き方」について渡部学芸員に伺いました。

星を探すときに使う星の地図、それが星図(せいず)です。科学館では、いくつかの星図を展示しているほか、配布用の星図も作成しています。なかでも「月刊うちゅう」や、「こよみハンドブック」、ホームページの「今月の星空ガイド」のメインの星図は、私が描いている科学館オリジナルのものです(下図)。

図.星図.大阪付近での3月上旬夜9時の空の様子

今回は、こうした星図の描きかたの初歩をご紹介します。方眼紙とエンピツでも描けますし、パソコンソフトのエクセルで描くこともできます。天体観察の準備のためだけでなく、デザインやアクセサリーづくりに応用もできます。ぜひ、チャレンジしてみてください。

星図の種類

さて、星図には大きくわけて、2つの描き方があります。

タイプA 実際の星の見え方にあわせた星図
タイプB 見え方にはこだわらず、星の配置を表した星図

このうち、上の星図はタイプAです。実用的なのですが、これを作るには、天文学の知識がいろいろと必要で、ここではご紹介しきれません。ここでは、より簡単な下のようなタイプBの星図の描き方をご紹介しましょう。この星図でも、星座の形を正しく知ることができます。ここでは、下のようなオリオン座の星図を描いてみましょう。


図.オリオン座の星図


データの準備

星図を描くためには、星の場所と明るさのデータが必要です。こうしたデータは、星表というもので出版されてきました。書店や図書館で手に入れられる星表としては、理科年表(丸善)や天文年鑑(誠文堂新光社)があります。
また、最近では、こうしたデータは、国立天文台やNASAなどからインターネットで公開されていて、ダウンロードできます。ただ、専門的になります。そこで、私のホームページ http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~yoshiya/ に、いくつかの星座用のものを用意しますので、ご利用ください。
さて、下はオリオン座の星のデータです。


表.オリオン座の主な星の表(星表)



さっそくオリオン座を描いてみよう

ここで、赤経、赤緯というのが、オリオン座のヨコ位置とタテ位置のデータです。
まずは、これだけで星図を描いてみましょう。方眼紙でもできますが、ここはパソコンソフトのエクセルの「グラフ」機能を使ってみましょう。

1.まず、エクセルにデータをコピーします。



2.次にこのデータからグラフを作ります。ここでは「散布図」を選んでください。


3.グラフに描くデータを指定します。
画面には、グラフエリアができるので、その場所をクリック→グラフツールの「デザイン」を選び、「データの選択」をします。

ここでは、赤経、赤緯の部分を選択したとたん、グラフが描かれました。

4.どんなグラフか見てみましょう。

なにか、オリオン座っぽいですが、線や文字がジャマですね。

5.ジャマなものをクリックして指定し、Deleteキーを押して、消してしまいましょう。


6.えらい横長になりましたので。すこしタテに引き延ばします。
おお、オリオン座っぽくなりましたね。


7.でも、何か変ですね。目標と比べてみましょう。そう、左右が裏返しになっているのです。

なぜ、こうなるか? というと、これは赤経の数字のふり方と関係しています。詳細ははぶきますが、これは天文学上の理由で、わざと反転させているのです。

8.エクセルのグラフには、軸を反転させる機能があります。これを使って見ましょう。
グラフツール→レイアウト→軸→主横軸→軸のオプションで、軸を反転するにチェックをいれます。


9.で、できたのがこちらです。ばっちりですね。ジャマな表示は消しています。


10.背景やマークの色を変えると、雰囲気がでますね。


星の明るさのちがいがわかるようにするには

ところで、オリオン座の星はそれぞれ明るさが違います。これがわかるようにするにはどうすればいいでしょう? 星図でよくやるのは、明るい星ほど大きく描くことです。
ここでさっきのデータを思い出してみましょう。「等級」というのが3列目(C列)にありますね。これが、星の明るさのデータです。



1.下ごしらえ 等級を使いやすい「明るさを表す値」に変えておく。
ちなみに、等級は数字が小さいほど明るくなります。1等級のほうが2等級より明るいので、なるほどという感じですが、ちょっと面倒です。たとえば、これをそのまま大きさにしてしまうと、明るい0.5等級が直径0.5センチ、暗い2.1等級が2.1センチとなって、逆転してしまいますよね。
そこで、下ごしらえとして、等級を、明るさを表す値に変換します。ここではかんたんに、いちばん暗い2.8より十分おおきな、5から等級を引きましょう。エクセルだと =5-C2とかになります。下ごしらえって料理みたいでしょう? そう、こうした作業は料理と似ているのですよ。


2.では、明るさをグラフでつくる星図に反映させます。
散布図ではダメなので、バブルという種類のグラフを使いましょう。
さっき作ったグラフを右クリックするメニューで、「グラフの種類の変更」をし、「バブル」を指定します。バブルは、値によって円の大きさを変えるグラフで、星図描きにピッタリです。


3.グラフの種類をバブルに変更すると、すぐにバブルの形式でグラフが描かれます。


4.まず、マーク(バブル)が大きすぎますね。適当な大きさにしましょう。
これは、「データ要素の書式設定」のサイズの表示「バブルの幅」でコントロールできます。わかりにくいのですが、グラフのなかの青い●(バブル)を右クリックして、「データ系列の書式設定」を選ぶと指定できます。

でも、グラフのマーク(バブル)は全部同じ大きさです。「明るさを表す値」のデータがグラフに反映されていないからです。

5.マーク(バブル)の大きさを「明るさを表す値」にしましょう。
グラフをクリックし、「グラフツール」「デザイン」の「データの選択」を選びます。


さらに、系列の「赤緯(度)」の「編集」をおすと、マーク(バブル)の大きさ(サイズ)を何のデータによるかを指定できます。いまは、全部1になってしまっています。

これを、「明るさを表す値」の数値になるよう、選択すると・・・


おお、それっぽくなりましたね。
仕上げに色を変えると、目標通り、完成です!


まとめ

今回は、星図を描きかたの一例をご紹介しました。星のデータをもとに図を作るので、コンピュータに向いている作業ですが、手作業でやってもなかなか楽しいものです。ぜひ、挑戦してみてください。
また、作業をしていると、星のデータは、軸が反転していたり、数字が大きいほど暗かったり、ちょっと変わっているのに出会います。これは、天文学が、近代科学が発達する以前からある、古い学問である現れとも言えます。実際「等級」などは、ヨーロッパで2000年前から使われている単位です。ちなみに、そのころの日本は文字が使われていなかった弥生時代です。星図を描こうとすると、そんな大昔の習慣や感覚が、現代の科学に残っていることもわかります。



最後にひとこと

渡部義弥学芸員

星図の元になる星座のデータは、私のホームページ(http://www.sci-museum.kita.osaka.jp/~yoshiya/ に掲載しましたので、ご利用ください。また、今回のグラフを描いたエクセルのシートもあわせておいておきます。さらに、もうちょっと応用の星図の作り方の記事もありますので、よかったらあわせてごらんください。
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