スタッフだより

第42回 科学館ミニブック 第2弾!第3弾!登場

2011年3月9日

岳川学芸員が企画・制作し、2010年の夏休みにとても好評だったミニブック「自由研究サポートブック」。そのミニブックの新作「おしえて学芸員!88のしつもん」と「磁石と自発的対称性の破れ」を発売することに決まりました!
発売日は少し先ですが、それぞれのミニブックの中身をみなさんに学芸員からご紹介します。

「おしえて学芸員!88のしつもん」を作るきっかけを教えてください。

科学館には毎年800件以上もの質問電話がかかってきます。きっと、来館されたお客さまもいろいろギモンがあるでしょう。そこでそのギモンにもお答えできないかと思い、2010年10月26日~12月26日、試験的に「おしえて学芸員!科学Q&A」というコーナーを展示場4階に設けました。2ヶ月間でしたが198件もの質問をいただきました。そのQ&Aをまとめたのが、この本です。

展示場4階「教えて学芸員!科学Q&A」コーナーに貼りだされたたくさんの解答シート
※現在はございません。

みどころは?

この本には、天文・宇宙分野が52件、物理学19件、化学6件、その他11件、全部で88件のQ&Aが載っています。
いただいた質問の例
Q1. どうして「地球」という名前になったの?
Q33. ブラックホールは見えないのに、なぜわかるの?
Q45. 宇宙は何キロあるの?
Q54. 磁石はどうしてくっつくの?
Q73. なぜアンモニアはくさいの?
Q78. 宇宙人がいるとしたら、どんな形?
ギモンのツボがみなさんちがっていて、答えた学芸員も勉強になりました。

ミニブック「教えて!学芸員!88の質問」

企画・制作した、石坂学芸員からメッセージを


石坂学芸員

この世界には、まだまだわからないことがたくさんあります。「なんだろう?」「なぜだろう?」という興味をもつことで、人生はより豊かに楽しくなります。知的好奇心は人生のスパイスなのです。この本がまわりの世界に対する科学的な探求の芽になればいいなと願っています。

「磁石と自発的対称性の破れ」を作るきっかけは?

これまで磁石や自発的対称性の破れについては、「月刊うちゅう」(友の会会員等に配布)などに、何度か書いてきました。今回、学芸員のミニブックを出そうということになり、これまでバラバラに書いてきた記事を再編集すれば面白いのができると、瞬間に思いました。
特に、2008年に「自発的対称性の破れの発見」でノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎先生は、受賞前・受賞後の2度科学館にお越しになっており、その時のことも書いていました。また、私自身のオリジナルなことも書いていますので、こういった記事をまとめていくと、50ページにもなりました。

自発的対対称性のやぶれを見る展示を前に南部先生(左)と斎藤学芸員(右)。中央は高橋館長。

どんな内容なんですか?

「自発的対称性の破れ」というと、何か難しそうと思われるかもしれませんが、磁石についての話から入って、自然な流れで読んでいただけるようにしています。
まず第1章では、磁石の歴史や磁石と電気の関係について、基本的なことをまとめています。次に第2章は磁力線に関する話です。私が考案した磁力線の展示や歴史的な話にはじまり、発電の方法や身近な磁石を強くする方法、さらに最先端の超伝導までを磁力線で考えます。第3章では、なぜ鉄が磁石につくかを考えます。鉄が磁石につくのなんてあたり前と思うでしょうが、それがなぜなのか考えていくことが、磁石がたくさん集まったときの性質、そして「自発的対称性の破れ」へとつながっていくのです。

ミニブック「磁石と自発的対称性のやぶれ」

そしていよいよ第4章で、南部陽一郎先生の「自発的対称性の破れ」の理論に挑戦します。内容としては、理系の大学生レベルを超える部分もあるのですが、それを老若男女を問わず、誰でもが読めるようにできるだけやさしく書いています。また、南部先生からいただいたコメントや、先生ご自身がお描きになった「自発的対称性の破れ」の絵も紹介しています。

企画・制作した、斎藤学芸員からメッセージを

このミニブックには、大阪市立科学館の展示もいろいろと登場します。たくさんの方位磁石が並んだ展示の写真が何度も出てきますが、全て対称性の破れ方が異なったものです。 実物は大阪市立科学館にしかないこともあり、南部陽一郎先生はお越しになったのです。
みなさんも、このミニブックを読んで、展示場で実際に操作してみて、「自発的対称性の破れ」のいろんな表情を見て楽しんでいただければと思います。

ミニブック
「磁石と自発的対称性のやぶれ」より

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