スタッフだより
第143回 プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」
2020年10月2日
今回のスタッフだよりは、プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」の企画を担当した西岡学芸員に話を聞きました。
「ふたたび」って、どういうことですか?
2018年、火星が地球ととても近づき、夜空で明るく見えていました。「火星大接近」と話題にもなっていたのですが、今年の秋、火星がふたたび地球に近づき、夜空で明るく輝いています。
2018年の接近よりも距離は少し遠くなりますが、それでも、2018年に匹敵するくらい近づき明るく見えるので、「火星『ふたたび』接近中!」としてみました。火星と地球の距離は近づいたり遠くなったりします。また、「接近」と一言で言っても、とても近づく大接近のときと遠い接近のときとでは、その距離は2倍近くも違います。そのため、夜空で見える明るさも、望遠鏡で見たときに見える火星の大きさも全然違ってくるのです。
次に今年と同じくらい近づくのは、13年後です。そのため、今年はぜひ、火星に注目していただきたい!という訳なんです。
今回の話に火星人が登場するのですか?
登場します。…というのも、私の「火星と言えば…」が『火星人』だったんです。子どもの頃にアニメで見た、赤いクラゲのような火星人が妙に印象に残っていて…。現在、探査機が実際に火星に行って着陸もしています。火星とはどのような星なのか、どのような風景が広がっているのか、私たちは、探査機を通して実際の火星の姿を近くから見ることができます。しかし、初めて探査機が火星に近づき火星表面の写真を送ってきたのは1965年のこと。たった55年前のことです。それまでは、地球から望遠鏡で観測し、その観測結果をもとに、火星とはどのような星か、植物はあるのか、生命はいるのか、様々なことが考えられ、人々の火星への好奇心も膨らみました。火星は多くの人の想いが詰まった星でもあります。今回のプログラムでは、そんな人々の火星への想いや観測の歴史も紹介したいと思い、ちょこっと火星人に登場してもらいました。
火星には運河があると思われていたんですか?
そのようです。火星を望遠鏡で見ると、筋のようなものがたくさん見えたそうです。ただ、最初は「運河」だとは思われていなかったのですが、イタリア語からフランス語や英語に訳されていく中で、「運河」という意味の単語が使われてしまいました。実際、筋はまるで海と海をつなぐ運河のようにも見え、「火星に運河が見つかった!」と広まってしまったんです。
また、火星の北極や南極には氷と思われる白い部分があり、大きさが変わることが観測されていました。こういったことからも、氷が融けた水を運河で火星全体に運んでいるのでは…?という考えにつながったのですね。
そして、運河があるということは、それを作った知的生命体がいるハズ!?望遠鏡での観測の結果、火星について色々なことがわかり、様々なことが考えられました。しかし、実際に火星に行ってその姿を見るまでは、誰も本当の火星の姿はわからなかったんです。結局のところ運河は見つかりませんでしたが、人々はどのような火星の姿をイメージしていたのでしょうか…。写真は地球の運河、オランダの風景です。
他に、今回のプログラムの見どころは?
火星に行った探査機が実際に見た、火星の風景です!技術の進歩とともに、探査機が火星まで飛んで行き、その探査機を通して、直接火星を観測することができるようになりました。火星には、どのような風景が広がっていたのか?着陸した探査機が見た火星の姿とは?ぜひプラネタリウムでは、火星に行ったつもりで周りをグルっと見渡してみて下さい。
そして…火星では、地球で見られるような雲や霧も観測、目撃されています!ぜひ、そんな火星で起こっている現象にも注目してみて下さい。
最後にひとこと
西岡 学芸員
火星は今年(2020年)、10月6日に最接近した後は、地球からだんだん遠ざかり、それとともに夜空で見える火星の明るさは暗くなります。つまり、明るさの変化で火星が近づいている、遠ざかっている様子がわかります。また、次に今年と同じくらい近づき明るく見えるのは、10年以上先のこと…。今年の秋、冬は、実際の空で火星を見て、火星を少し身近に感じてもらえると嬉しいです。
スタッフだより
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- 第11回 「137億年の歴史」
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- 第8回 「電気びりびり」
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