スタッフだより

第137回 プラネタリウム「木星と土星の世界」

2019年6月30日

今回のスタッフだよりは、プラネタリウム「木星と土星の世界」の企画を担当した西野学芸員に話を聞きました。

木星と土星って、どちらも惑星ですよね?

はい。地球と同じく太陽のまわりをまわる惑星のなかまです。
でも地球のように岩石や鉄を主成分とする岩石型惑星ではなく、おもに水素やヘリウムからなる巨大なガス惑星に分類されます。同じ惑星のなかまですが、どちらも地球とは全く違う環境を持っているんです。

木星と土星は似ているのでしょうか?

似ているところもありますが、最新の探査によって、それぞれに全く異なる独特の世界があるということも分かってきました。例えば木星でいうと、2011年に打ち上げられて2016年に木星に到着した木星探査機「ジュノー」が、現在も木星のまわりで探査をしてくれています。土星でいえば、1997年に打ち上げられて2004年に土星に到着、2017年まで探査を続けてくれた土星探査機「カッシーニ」があります。こうした探査機での成果によって、地球からは見ることのできなかった木星と土星の、より詳しいすがたが分かってきました。
今回のプラネタリウム番組では、そうした最新の成果を交え、木星と土星の見どころをぎゅっと集めています。木星と土星のハイライトを巡るツアーをお楽しみいただけますよ!

それぞれの惑星の一番の見どころを、こそっと教えてください

そうですねえ。詳しくはぜひプラネタリウムを見てもらいたいですが…、では1つずつ。 まず、木星は何といっても北極や南極の渦です。木星は自転軸が公転面に対してほぼ垂直のため、地球からは極の辺りはあまり見えないんです。でも、探査機ジュノーは、これまでにはない極軌道(木星の北極から赤道を経て南極へと通過する軌道)で探査していて、極のようすを間近でとらえてくれています。そのおかげで、木星の極には地球の半分ほどの直径の嵐がうじゃうじゃ渦巻いていることが分かりました。 また土星は、やはり環が人気ですよね。地球からの観測で、環はずいぶん薄っぺらいことが分かっています。幅は地球20個分くらいに広がっていますが、厚さは数十mほどしかありません。土星の環の正体は、たくさんの氷のつぶでできています。その大きさは、砂粒くらいの小さなものから、トラックほどのものまで大小さまざまです。今回のプラネタリウムでは、この土星の環くぐりも体験できますよ!

最後にひとこと


西野藍子 学芸員

今年の夏は、さそり座の辺りに木星、いて座のところに土星が光っていて一度に夜空で見るチャンスです。まずは、ぜひ実際の空で木星と土星をご覧いただきたいです。そしてできれば、このプラネタリウム番組を見て、木星と土星の世界をじっくり味わった上で、望遠鏡でもご覧いただきたいです。惑星表面の模様や、そのまわりの衛星をより深く楽しむことができるはず!科学館では7月と8月に木星と土星を見る観望会を予定していますので、ご都合が合いましたら、ぜひご応募いただければと思います。

・7月31日(水) 特別天体観望会「木星と土星を見よう」
・8月21日(水) 特別天体観望会「木星と土星を見よう」

西野 藍子のホームページ

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