スタッフだより

第83回 サイエンスショー「水の科学」:凍らない水

2014年11月1日

今回のスタッフだよりは、現在演示中のサイエンスショー「水の科学」の見どころについて岳川学芸員に話を聞きました。

0℃になっても水が凍らないんですか?

水を冷やして0℃になると、ふつうは凍り始めますね。
ところがこの水、マイナス4℃なのに凍っていません!水にはしかけはありません、水道の水(だけ)です。こんな水のことを「過冷却水(かれいきゃくすい)」といいます。「冷えすぎちゃった水」という意味です。
実はこの水、凍るのを忘れてしまっているのです!
そこで、思い出させてあげることにしましょう。思い出させ方にはいくつかの方法がありますが、ちゃんと凍っている氷に出会うと、とてもよく思い出します。氷に向かって過冷却水を注ぐと…、氷の山がみるみる高くなっていきます!
サイエンスショーでは、このときのお客様の驚いた顔と声が、私のとっても嬉しい瞬間です♪

マイナス4℃の「水」

注いだ水が氷に!

家でもできます!

がんばれば、この実験は家でもできます。
洗ったPETボトルに水道の水を入れて、フタをして、冷凍庫で冷やす、だけです。
え? そんなんじゃ凍るって??
そうですよね。そこで、コツを2つご紹介しましょう。
コツ1.できるだけたくさんのPETボトルを冷やす。
コツ2.そーっと冷やす。
あとは、何時間くらい冷やすか、ですが、これが案外難しいのです。冷凍庫のパワーのちがいなどによって一概には言えないので、とりあえず5,6時間冷やしてみてください。もしぜんぜん凍っていなかったら、さらにしばらく冷やし続けてみましょう。もし全部凍ってしまっていたら、水入りPETボトルを交換して、次は時間を短めにして再チャレンジ。
10本入れたPETボトルのうち、8,9本凍っているのに、1,2本凍っていない、というときは、それが過冷却水の可能性があります。そっと取り出して、そっとフタをあけ、氷の上に注いでみましょう!
この実験は、簡単なのですが根気がいります。がんばった人だけが味わえるこの楽しみ、ぜひみなさんもチャレンジしてみてください!

科学館では冷凍庫で毎日25本冷やしています。
また、冷えすぎないようにサーモスタットを使って庫内を-5.5~-3℃にキープしています。

どうして凍らない?

水が凍る、これは水分子が規則正しくならんで、水分子の結晶(固体)ができることをいいます。温度が下がると、水分子も元気がなくなって動きが鈍くなり、近くの水分子と寄り添うようになるようなイメージです(水素結合)。ただ、そーっと冷やしたり、温度が低くなりすぎなかった場合などは、大人数で整列することができず、氷になれない=過冷却水になる、という現象が起こります。
逆に言えば、ふつうの冷凍庫でふつうに氷ができるのは、冷凍庫がマイナス18℃近くあること(とても温度が低い)と、冷蔵庫の振動や霜(氷)が入るなどのきっかけがあることによって、凍りやすい環境があるからと考えられます。

氷の構造(一部)…水色の玉がひとつの水分子(H2O)

最後にひとこと


岳川学芸員

世界結晶年記念企画展「THE結晶展」にお越しください 水の結晶のひとつに、「雪の結晶」があります。雪の結晶にはいろいろな形があり、それぞれほんとうに美しく、見れば見るほど自然の力に感動します。その雪 の結晶の写真、約20種類が、企画展「THE結晶展」にやってきます。驚くほど美しい水の世界、ぜひご覧いただいたいと思います。 このように水は毎日たくさん使っている物質ですが、実におもしろい化学変化を見せてくれます。また、温度や環境で、いろいろな姿、いろいろな名前に変わる、変幻自在な物質です。 そして、水を温めたときにも、すごいことが起こります! こちらは、ぜひ11月末までのサイエンスショー「水の科学」を見にいらしてください。

 

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