スタッフだより
第24回 「皆既日食」見て来ました!
2009年8月6日
7月22日(水)、国内で46年ぶりに「皆既日食」が起こりました。科学館で、この「皆既日食」を見ることができたのは、嘉数学芸員ただひとり。今回は、幸運な嘉数学芸員の「皆既日食」レポートです。
「ふじ丸」に乗り込んで、一路太平洋を目指します
皆既日食を観測するために、小笠原諸島近海まで船で出かけました。
今回参加したのは兵庫県立大学が開催した公開講座で、「ふじ丸」という客船に乗って、小笠原諸島近海で皆既日食を観測するというツアーです。私と、同じツアーに申し込んだ科学館友の会会員約30名と一緒に参加しました。
7月20日(月・祝)、約500名の参加者を乗せた船は姫路港を出発し、一路太平洋を目指します。途中、船内では日食や小笠原の自然などを勉強する講義や天文の講演会などが開催されました。
出発日と翌日の空は曇りで、夜の星も見えません。洋上はテレビや携帯電話も使えないため情報も入らず、期待と不安の日を送ります。
◆父島で停泊中の客船ふじ丸
◆船上では、公開講座の講義を受講しました
いよいよ、「皆既日食」当日です
そして日食当日、朝起きてみると外は青空、海面は波もなくおだやか、絶好の天候です!
朝8時30分、参加者はそれぞれの観測場所に行き日食観測の準備を始めます。
10時すぎ、いよいよ日食の始まりです。太陽が少しずつ欠け始めます。参加者は、日食メガネやピンホール法で見たり、写真撮影をしたりと、それぞれの方法で観測しています。
11時をすぎた頃から、太陽が大きく欠けたせいで辺りが徐々に薄暗くなり、体感温度も下がり始めます。
◆日食開始直前の様子。参加者はあわただしく観測の準備に追われています。日光をさえぎる影もないため、暑さ対策も必要でした。
◆近くにいた、友の会の参加者(の一部)と記念撮影をしました。
そして11時25分、太陽は光を失い、ダイヤモンドリングが見えたかと思うと、皆既日食がはじまりました。薄暗い空に黒い太陽と、周りをとりまくコロナが白くぽっかりと浮かんでいます。あたりの空には金星や冬の1等星などの明るい星がパラパラ見え、地平線付近は夕焼け時のような赤い色でうっすら輝いていて、今まで見たことのない光景が広がりました。
◆皆既中に見えたコロナの姿です。
◆皆既終了時に見えたダイヤモンドリング。
数秒間しか見えず、あっという間に見えなくなってしまいました。
そして11時32分、再びダイヤモンドリングが見えたかと思うと、あっという間に太陽が光を取り戻します。気がつくと空も青空に戻っています。
その不思議な体験は夢のようでもあり、言葉で表現できない程です。皆既が終わってふたたび辺りが明るくなると、どこからともなく歓声や拍手、バンサイの声が上がり、現実に引き戻してくれます。記憶と記録にとどめようと、ビデオや写真を必死で撮影し、合間に肉眼でながめていましたが、6分39秒という時間はすぐに過ぎてしまったというのが印象です。
船の旅は続き・・
そして、日食翌日の23日(木)には、小笠原諸島の父島に上陸し、電波天文台などの島内見学をしたあと、船は一路姫路港へ引き返し、25日(土)の午前10時に全員無事に帰港しました。
幸い、航海中の海は穏やかで、時折揺れが大きくなる程度だったため、船酔いする人も少なかったようです。また、船内ではおいしい食事も提供されましたし、航海中は県立大学の先生や天文学者などによる講義や講演会、プロの音楽家によるコンサートにお茶会など、さまざまなプログラムが用意され、ゆっくりする時間もないくらい充実していた6日間でした。
私は、皆既日食を見たのは、今回が初めてでした。なので、日食に魅力にとりつかれて、現象が起こるたびに世界中へ出かける「日食ハンター」と呼ばれる人の気持ちがようやく理解できました。ぜひ皆さんも機会があれば、皆既日食を見てみてはいかがでしょうか。オススメです。
◆クルーズ最後の夜。友の会の参加者が集まって再び記念撮影。
今回の日食クルーズに参加された、友の会会員が撮影した日食の写真は、地下1階アトリウムで開催中の「日食写真展」(8月末までの予定)でも展示していますので、ご覧ください。
スタッフだより
- 第150回 ノーベル賞受賞100年記念「アインシュタイン展」
- 第149回 全天周映像作品「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」
- 第148回 プラネタリウム「天王星発見240年」
- 第147回 南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究―
- 第146回 プラネタリウム「冬の天の川」
- 第145回 プラネタリウム「HAYABUSA2 ~REBORN」
- 第144回 サイエンスショー「ふしぎな形」
- 第143回 プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」
- 第142回 ミニ企画「積み木のルーツ~フレーベル『恩物』」展
- 第141回 プラネタリウム「夜空の宝石箱『すばる』」
- 第140回 いろいろな楽器のグループ分け
- 第139回 サイエンスショー「電池がわかる」
- 第138回 プラネタリウム「星空歴史秘話」
- 第137回 プラネタリウム「木星と土星の世界」
- 第136回 「蜃気楼(しんきろう)」を見てみませんか?
- 第135回 プラネタリウム「宇宙ヒストリア~138億年、原子の旅~」
- 第134回 プラネタリウム。リニューアルの舞台裏
- 第133回 展示場のリニューアル
- 第132回 大阪市立科学館と大阪大学
- 第131回 展示場リニューアル準備 ~気象コーナー~
- 第130回「はやぶさ2」
- 第129回 スペシャルナイト「さよならインフィニウムL-OSAKA」
- 第128回「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」
- 第127回「スーパー磁石で大実験」
- 第126回「科学デモンストレーター10周年」
- 第125回「火星大接近」
- 第124回 サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」
- 第123回 プラネタリウム「眠れなくなる宇宙のはなし」
- 第122回 プラネタリウム「はるかなる大マゼラン雲」
- 第121回 サイエンスショー「虹でじっけん、光のせかい」
- 第120回 幼児のための企画展「にじのせかい」
- 第119回 プラネタリウム「ブラックホール合体!重力波」
- 第118回 企画展「大阪市立科学館資料で見るノーベル賞展」
- 第117回 サイエンスショー「マイナス200℃のふしぎ」
- 第116回 プラネタリウム「秋の夜長に月見れば」
- 第115回 「大人も子どもも、紫キャベツ!」
- 第114回 「空を眺めると…~夏の雲はモクモク雲~」
- 第113回 プラネタリウム「木星と土星を見よう」
- 第112回 プラネタリウム「見上げよう!未来の星空」
- 第111回 企画展「石は地球のワンダー~鉱物と化石に魅せられた2人のコレクション~」
- 第110回 プラネタリウム「見えない宇宙のミステリー~謎の光・X線をとらえろ~」
- 第109回 「星図の描き方」
- 第108回 サイエンスショー「静電気なんてこわくない!?」
- 第107回 プラネタリウム解説デビュー裏話
- 第106回 サイエンスショー「ふしぎな形にだまされるな!」
- 第105回 「化学と宮沢賢治」
- 第104回 プラネタリウム「星空オールナイト」
- 第103回 プラネタリウム「火星・土星・冥王星ツアー」
- 第102回 プラネタリウム「ファミリータイム」
- 第101回 この夏は「花火×化学」
- 第100回 プラネタリウム「銀河の世界」
- 第99回 プラネタリウム「星の誕生」
- 第98回 「スーパー磁石で大冒険」
- 第97回 「鉱物の結晶構造」
- 第96回 「だれでもできる!天体写真を写してみよう」
- 第95回 プラネタリウム「ロゼッタ、彗星を探査せよ」
- 第94回 サイエンスショー「フシギな偏光板」
- 第93回 企画展「光とあかり」
- 第92回プラネタリウム「ブラックホール」
- 第91回サイエンスショー「赤青緑の光サイエンス」
- 第90回国際光年協賛「花火の色とひかり展」
- 第89回プラネタリウム「天の川をさぐる」
- 第88回プラネタリウム「ボイジャー太陽系脱出」
- 第87回サイエンスショー「飛ばしてみよう!」
- 第86回 プラネタリウム「オーロラ」
- 第85回 サイエンスショー「バランス大実験」
- 新年のごあいさつ
- 第84回 プラネタリウム「ビッグバン~宇宙ヒストリア~」
- 第83回 サイエンスショー「水の科学」:凍らない水
- 第82回 プラネタリウム「宇宙人をさがす冴えたやり方―沈黙のフライバイ」
- 第81回 「はやぶさ2」 プラネタリウム&企画展について
- 第80回 サイエンスショー「空気パワー」
- 第79回 プラネタリウム「天の川って、なんだろう」
- 第78回 プラネタリウム「月へいこう!~おためし月面生活~」
- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(後編)
- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(前編)
- 第76回 プラネタリウム「南十字星にあいにいこう」
- 第75回 「都会の星」写真展
- 新年のごあいさつ
- 第74回 サイエンスショー「炎のアツい科学」
- 第73回 プラネタリウム「オーロラ」
- 第72回 企画展「色の彩えんす」まもなく終了
- 第71回 プラネタリウム「宇宙のトップスター」
- 第70回 国際会議で発表
- 第69回 サイエンスショー「マイナス200℃の世界」のご紹介
- 第68回 プラネタリウム2013年夏のプログラム紹介
- 第67回 くうきフシギ発見!~シーオーツーのひみつ~
- 第66回 プラネタリウム「未来の星座を見てみよう」
- 第65回 パンスターズ彗星!
- 第64回 サイエンスショー「サウンド・オブ・サイエンス♪」
- 第63回 『宇宙のハーモニー ~奇跡の地球に生まれて~』 のできるまで
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「オーロラ」
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「木星」
- 第61回 展示場3階「色の化学」
- 第60回 宇宙に浮かぶ望遠鏡
- 第59回 光のヒ・ミ・ツ
- 第58回 企画展「渋川春海と江戸時代の天文学」を開催します
- 第57回 新スタッフ紹介
- 第56回 プラネタリウム・キッズタイムと新プログラム
- 第55回 金環日食
- 第54回 そらみたことか-気象光学現象について-
- 第53回 電気科学館の思い出
- 第52回 科学デモンストレーターとは何か?
- 第51回 「世界化学年2011」を振り返る
- 第50回 プラネタリウムリニューアルオープン
- 第49回 皆既月食
- 第48回 新展示「風車」登場!
- 第47回 アンドロメダ銀河の正体
- 第46回 花火の化学展
- 第45回 七夕にまつわる新発見!
- 第44回 「蜃気楼」ってなんだろう
- 第43回 新館長よりご挨拶
- 第42回 科学館ミニブック 第2弾!第3弾!登場
- 第41回 世界化学年2011
- 第40回 アジアの星と神話
- 第39回 科学館のおすすめ展示 その2
- 第38回 はやぶさ帰還カプセル展示を終えて
- 第37回 科学館のおすすめ展示 その1
- 第36回 新スタッフ紹介
- 第35回 大型映像を見よう
- 第34回 「はやぶさ」遂に地球へ帰還
- 第33回 科学館もおでかけします
- 第32回 展示場をより楽しむ方法
- 第31回 サイエンスショーができるまで
- 第30回 科学館天文台
- 第29回 モバイルプラネタリウム
- 第28回 宇宙の「謎」を解き明かす
- 第27回 流星群を観察してみませんか?
- 第26回 20周年を迎えて
- 第25回 はじめまして!
- 第24回 「皆既日食」見て来ました!
- 第23回 「7月22日、日食を見よう!」
- 第22回 「広報担当S&Yの試写レポート」
- 第21回 「宇宙がわかる」
- 第20回 「HAYABUSA」公開開始!
- 第19回 「いろいろ集めてます!第2弾」
- 第18回 「世界天文年2009」
- 第17回 「元素がわかる」
- 第16回 「ペルセウス座流星群を見よう!」
- 第15回 「新!展示場 誕生」
- 第14回 「天の川を見よう」
- 第13回 「リニューアルまであと2ヶ月!」
- 第12回 「サイエンスガイドって?」
- 第11回 「137億年の歴史」
- 第10回 「プラネタリウムのライブ解説」
- 第9回 「いろいろ集めてます」
- 第8回 「電気びりびり」
- 第7回 「プラスチック 100年」
- 第6回 「プラネタリウムの今昔」
- 第5回 「結晶の世界」
- 第4回 「密着!学芸員」
- 第3回 「そらみたことか」
- 第2回 「流れ星を追いかける男」
- 第1回 「ほないくで」
開館日カレンダー
■は休館日です
本日のプラネタリウム
残席情報
本日のプログラムは終了しました。
- 所要時間
- 約45分間
お客様の安全のため、途中入場できません。
ブラウザを更新してご確認ください