スタッフだより
第41回 世界化学年2011
2011年2月11日
2011年が始まって1ヶ月が過ぎました。今年が、「世界化学年」ってご存知でしたか?
『かがく』といっても、理科全般を指す『科学』ではなく、「化学反応」とか「化学工業」というときに使われる『化学』の方です。そこで今回のスタッフだよりは、化学担当の岳川学芸員に「世界化学年」について話を聞きました。
では、まず世界化学年について教えてください
世界化学年は、マリー・キュリー(キュリー夫人)がノーベル化学賞を受賞してから100年目に当たること(※)を記念して、国連で決定された世界共通のイベントです。2005年は「世界物理年」、2009年は「世界天文年」、そしていよいよ2011年が化学なんです。
世界化学年のスローガンは、“Chemistry – our life, our future”。私は、「私たちの暮らしと未来につながる化学」という日本語にしてみました。たくさんの人たちに「化学」をたのしんでいただける1年になるといいなと思いながら、先輩であり、同じ化学担当の小野学芸員といろいろなスタイルのイベント企画や準備を進めています。
※IUPAC(国際純正・応用化学連合)の前身である国際化学会協会発足100周年にもあたります。
なぜ今年が世界化学年なのでしょうか?
放射能の研究をしていたマリー・キュリー(キュリー夫人)は、ちょうど100年前の1911年にノーベル化学賞を受賞しました。受賞理由は「ラジウムおよびポロニウムの発見とラジウムの性質およびその化合物の研究」。ちなみにこの8年前の1903年には、「放射能の研究」の業績によって、夫のピエール・キュリーとアンリ・ベクレルとともにノーベル物理学賞を受賞しています。
ノーベル化学賞を受賞した人は、ほかにもたくさんいるのに、なぜキュリー夫人なの?と思いますよね。キュリー夫人は、女性初のノーベル賞受賞者、そして、化学賞と物理学賞をダブル受賞をした唯一の人であること、という意味で特別な人なのです。
マリー・キュリー
出典:ノーベル財団ホームページ
日本国内ではどのようなイベントをするのですか?
日本でも「世界化学年日本委員会」が立ち上げられ、委員長には、2001年にノーベル化学賞を受賞した理化学研究所理事長の野依良治さんが、委員には、宇宙飛行士の毛利衛さんや、有馬朗人さんらが名を連ねています。「世界化学年日本委員会」のホームページでは、全国各地でひらかれる講演会や実験教室などイベントが公開されています。一度、チェックしてみてください。
科学館ではどのようなイベントをするのですか?
大阪市立科学館でも、さまざまなイベントを予定しています。たとえば5月からは企画展「大阪化学の過去・いま・未来」を開催。実は大阪は、化学の町。日本初の化学の学校「舎密局(せいみきょく)」が作られたのも大阪。そして江戸、明治の時代から、繊維やクスリ、プラスチックなどなど、化学にまつわる会社が大阪からたくさん誕生しました。この企画展では、こうした大阪で生まれ、いまもみなさんの身の回りで活躍している化学によって作られたもの(本物)を紹介し、「大阪は化学のまち!」ということを大阪の方々に知っていただき、全国の方に自慢していただきたいなと思っています。
この他にも、常設展示「身近に化学」フロアでのギャラリートークやサイエンスショー、化学の実験教室や友の会イベント、などなど、ここでは書ききれないくらいの化学イベントが目白押しです。くわしくは、科学館ホームページの特設ページをご覧ください。詳細が決定したイベントから随時更新しているので、ときどき、のぞいてみてくださいね。
最後にひとこと
岳川 学芸員
化学というと、難しい、危険、というようなネガティブなイメージもあるかもしれませんが、スローガン“Chemistry – our life, our future”のとおり、私たちの暮らしは今も未来も、化学の恩恵を受けていることは間違いないはずです。ですから、化学は化学者だけのものではなくて、この世界に住むみんなのためにあると言えると思うのです。 世界化学年では、化学に詳しい方にも化学ビギナーの方にも、楽しみながら化学の意義を実感することができる時間を持っていただけたらと思っています。科学館のイベントに参加する以外にも、化学の本を読んでみよう、夏休みの自由研究は化学で…、などなど、ふだんより少し多めに化学に注目していただけると嬉しいです。
スタッフだより
- 第150回 ノーベル賞受賞100年記念「アインシュタイン展」
- 第149回 全天周映像作品「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」
- 第148回 プラネタリウム「天王星発見240年」
- 第147回 南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究―
- 第146回 プラネタリウム「冬の天の川」
- 第145回 プラネタリウム「HAYABUSA2 ~REBORN」
- 第144回 サイエンスショー「ふしぎな形」
- 第143回 プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」
- 第142回 ミニ企画「積み木のルーツ~フレーベル『恩物』」展
- 第141回 プラネタリウム「夜空の宝石箱『すばる』」
- 第140回 いろいろな楽器のグループ分け
- 第139回 サイエンスショー「電池がわかる」
- 第138回 プラネタリウム「星空歴史秘話」
- 第137回 プラネタリウム「木星と土星の世界」
- 第136回 「蜃気楼(しんきろう)」を見てみませんか?
- 第135回 プラネタリウム「宇宙ヒストリア~138億年、原子の旅~」
- 第134回 プラネタリウム。リニューアルの舞台裏
- 第133回 展示場のリニューアル
- 第132回 大阪市立科学館と大阪大学
- 第131回 展示場リニューアル準備 ~気象コーナー~
- 第130回「はやぶさ2」
- 第129回 スペシャルナイト「さよならインフィニウムL-OSAKA」
- 第128回「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」
- 第127回「スーパー磁石で大実験」
- 第126回「科学デモンストレーター10周年」
- 第125回「火星大接近」
- 第124回 サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」
- 第123回 プラネタリウム「眠れなくなる宇宙のはなし」
- 第122回 プラネタリウム「はるかなる大マゼラン雲」
- 第121回 サイエンスショー「虹でじっけん、光のせかい」
- 第120回 幼児のための企画展「にじのせかい」
- 第119回 プラネタリウム「ブラックホール合体!重力波」
- 第118回 企画展「大阪市立科学館資料で見るノーベル賞展」
- 第117回 サイエンスショー「マイナス200℃のふしぎ」
- 第116回 プラネタリウム「秋の夜長に月見れば」
- 第115回 「大人も子どもも、紫キャベツ!」
- 第114回 「空を眺めると…~夏の雲はモクモク雲~」
- 第113回 プラネタリウム「木星と土星を見よう」
- 第112回 プラネタリウム「見上げよう!未来の星空」
- 第111回 企画展「石は地球のワンダー~鉱物と化石に魅せられた2人のコレクション~」
- 第110回 プラネタリウム「見えない宇宙のミステリー~謎の光・X線をとらえろ~」
- 第109回 「星図の描き方」
- 第108回 サイエンスショー「静電気なんてこわくない!?」
- 第107回 プラネタリウム解説デビュー裏話
- 第106回 サイエンスショー「ふしぎな形にだまされるな!」
- 第105回 「化学と宮沢賢治」
- 第104回 プラネタリウム「星空オールナイト」
- 第103回 プラネタリウム「火星・土星・冥王星ツアー」
- 第102回 プラネタリウム「ファミリータイム」
- 第101回 この夏は「花火×化学」
- 第100回 プラネタリウム「銀河の世界」
- 第99回 プラネタリウム「星の誕生」
- 第98回 「スーパー磁石で大冒険」
- 第97回 「鉱物の結晶構造」
- 第96回 「だれでもできる!天体写真を写してみよう」
- 第95回 プラネタリウム「ロゼッタ、彗星を探査せよ」
- 第94回 サイエンスショー「フシギな偏光板」
- 第93回 企画展「光とあかり」
- 第92回プラネタリウム「ブラックホール」
- 第91回サイエンスショー「赤青緑の光サイエンス」
- 第90回国際光年協賛「花火の色とひかり展」
- 第89回プラネタリウム「天の川をさぐる」
- 第88回プラネタリウム「ボイジャー太陽系脱出」
- 第87回サイエンスショー「飛ばしてみよう!」
- 第86回 プラネタリウム「オーロラ」
- 第85回 サイエンスショー「バランス大実験」
- 新年のごあいさつ
- 第84回 プラネタリウム「ビッグバン~宇宙ヒストリア~」
- 第83回 サイエンスショー「水の科学」:凍らない水
- 第82回 プラネタリウム「宇宙人をさがす冴えたやり方―沈黙のフライバイ」
- 第81回 「はやぶさ2」 プラネタリウム&企画展について
- 第80回 サイエンスショー「空気パワー」
- 第79回 プラネタリウム「天の川って、なんだろう」
- 第78回 プラネタリウム「月へいこう!~おためし月面生活~」
- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(後編)
- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(前編)
- 第76回 プラネタリウム「南十字星にあいにいこう」
- 第75回 「都会の星」写真展
- 新年のごあいさつ
- 第74回 サイエンスショー「炎のアツい科学」
- 第73回 プラネタリウム「オーロラ」
- 第72回 企画展「色の彩えんす」まもなく終了
- 第71回 プラネタリウム「宇宙のトップスター」
- 第70回 国際会議で発表
- 第69回 サイエンスショー「マイナス200℃の世界」のご紹介
- 第68回 プラネタリウム2013年夏のプログラム紹介
- 第67回 くうきフシギ発見!~シーオーツーのひみつ~
- 第66回 プラネタリウム「未来の星座を見てみよう」
- 第65回 パンスターズ彗星!
- 第64回 サイエンスショー「サウンド・オブ・サイエンス♪」
- 第63回 『宇宙のハーモニー ~奇跡の地球に生まれて~』 のできるまで
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「オーロラ」
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「木星」
- 第61回 展示場3階「色の化学」
- 第60回 宇宙に浮かぶ望遠鏡
- 第59回 光のヒ・ミ・ツ
- 第58回 企画展「渋川春海と江戸時代の天文学」を開催します
- 第57回 新スタッフ紹介
- 第56回 プラネタリウム・キッズタイムと新プログラム
- 第55回 金環日食
- 第54回 そらみたことか-気象光学現象について-
- 第53回 電気科学館の思い出
- 第52回 科学デモンストレーターとは何か?
- 第51回 「世界化学年2011」を振り返る
- 第50回 プラネタリウムリニューアルオープン
- 第49回 皆既月食
- 第48回 新展示「風車」登場!
- 第47回 アンドロメダ銀河の正体
- 第46回 花火の化学展
- 第45回 七夕にまつわる新発見!
- 第44回 「蜃気楼」ってなんだろう
- 第43回 新館長よりご挨拶
- 第42回 科学館ミニブック 第2弾!第3弾!登場
- 第41回 世界化学年2011
- 第40回 アジアの星と神話
- 第39回 科学館のおすすめ展示 その2
- 第38回 はやぶさ帰還カプセル展示を終えて
- 第37回 科学館のおすすめ展示 その1
- 第36回 新スタッフ紹介
- 第35回 大型映像を見よう
- 第34回 「はやぶさ」遂に地球へ帰還
- 第33回 科学館もおでかけします
- 第32回 展示場をより楽しむ方法
- 第31回 サイエンスショーができるまで
- 第30回 科学館天文台
- 第29回 モバイルプラネタリウム
- 第28回 宇宙の「謎」を解き明かす
- 第27回 流星群を観察してみませんか?
- 第26回 20周年を迎えて
- 第25回 はじめまして!
- 第24回 「皆既日食」見て来ました!
- 第23回 「7月22日、日食を見よう!」
- 第22回 「広報担当S&Yの試写レポート」
- 第21回 「宇宙がわかる」
- 第20回 「HAYABUSA」公開開始!
- 第19回 「いろいろ集めてます!第2弾」
- 第18回 「世界天文年2009」
- 第17回 「元素がわかる」
- 第16回 「ペルセウス座流星群を見よう!」
- 第15回 「新!展示場 誕生」
- 第14回 「天の川を見よう」
- 第13回 「リニューアルまであと2ヶ月!」
- 第12回 「サイエンスガイドって?」
- 第11回 「137億年の歴史」
- 第10回 「プラネタリウムのライブ解説」
- 第9回 「いろいろ集めてます」
- 第8回 「電気びりびり」
- 第7回 「プラスチック 100年」
- 第6回 「プラネタリウムの今昔」
- 第5回 「結晶の世界」
- 第4回 「密着!学芸員」
- 第3回 「そらみたことか」
- 第2回 「流れ星を追いかける男」
- 第1回 「ほないくで」
開館日カレンダー
■は休館日です
本日のプラネタリウム
残席情報
本日は9:30開館です。
残席表示も9:30からご覧いただけます。
- 所要時間
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