スタッフだより
第124回 サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」
2018年5月1日
今回のスタッフだよりは、サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」の企画・制作を担当した小野学芸員に話を聞きました。
シャボン玉は皆さん大好きですよね。
シャボン玉は、とても身近な遊びで、ショーを見てもらったお客様に聞いたところ、「うちの子は1才の時から始めました!」というお母さんとお話をしたこともあります。小学校4年生くらいになると、もう卒業したという声が多くなりますが、それでも大人も子どもも好きなものには変わりありませんね。ふわふわしていて、キラキラ綺麗で、はかなげで。そしてみてるだけでウキウキしてきますよね。今回は皆が大好きなそのシャボン玉のサイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」にまつわるこばなしを少々。
シャボン玉サイエンス
とっても素敵なシャボン玉、その科学を知れば、また奥深い楽しみ方もできるはずです。大人の方は、大人のたしなみとして知っていてもいいと思うのです。どんな科学かというと、「表面張力」と「光の干渉」が今回のサイエンスショーのポイントです。
◆表面張力
まず表面張力ですが、これは、皆さんよく聞く言葉だと思います。どんなものかと言いますと、水など液体と空気等の気体の境目部分で働いている力です。液体は、その液体を作っている分子同士がお互い引きあう力を持っていて、ぎゅうぎゅう集まっているわけですが、その液体の一番外側、つまり空気と触れあっている部分では、液体の分子同士が触れ合っている下や横の方に引っ張られる力しかかかりません。 ですので、外側の分子は、内側へ引っ張られるような力が強いわけです。これはその液体が縮まろうとする形で私たちは目にします。例えば、水が蛇口から落ちる時など、丸まっていくのをよく見ますよね。この形を作るのが表面張力のせいなのです。水滴などで確認できるこの表面張力ですが、膜にすると図1.のように膜が縮まろうとする力で確認することもできます。 シャボン玉は、薄い液体が空気を包んで丸くなっていますね。空気という中身を含んだ薄い膜、つまり立体物として存在しているシャボン玉。同じ体積を持つ立体ならば表面積が最も小さくなるのは、立方体でも、直方体でも円柱でもなく、表面積がS=4πr²で表される、「球=〇」なのです。表面張力が働き小さくなっていくと「球」という形になるシャボン玉。自然の力って面白いです。
◆光の干渉(かんしょう)
シャボン玉のもう1つの魅力は、色ですね。シャボン玉の色?シャボン玉の色って、虹色?透明?白?改めて聞かれるとどんな感じだったか、考えてしまいます。シャボン膜は薄い水の膜ですから透明なのですが、その薄膜のせいで虹色にも見えるのです。
太陽の光や、室内のあかりを作る光には、ふつうさまざまな色が混ざっています。その結果として、白かったりやや黄色だったりする色を私たちは目にしています。
そしてシャボン膜は薄い水の膜で、光が当たった時にその水の膜の上側ではね返る光と下側ではね返る光があります。そしてこのはね返った2つの光がまた一緒になった時に、おたがいを打ち消しあうことが起きたり、強めあったりすることがあります。この強めあった時の光が私たちの目に、はね返ってきた光として目に入ります。 この光の強め合いや弱め合いを光の干渉といい、膜の厚さや光の波長によって、見える光の色が変わってくるのです。 シャボン玉は、薄い水の膜です。蒸発や、重力に引かれて、少しずつ膜の厚さが変わっていくので、膜ではね返り私たちの目に入る光の色はいろいろ変化していくわけです。 明るい外では何となく見えている色も、しっかり確認できるようにすると、図3.のようになるわけです。
家でチャレンジ!「はずむシャボン玉」
はずむシャボン玉を作ったことがありますか?そうシャボン玉を弾ませるのです。普通は割れてしまいますが、液やさわる部分を工夫すると、お手玉のようにはずませることもできます。 図4は、はずませた後、手にのせているところです。液の作り方は、図5のとおり♪ 100円ショップでシャボン液もガムシロップもそろいます。でも、ひと手間惜しまなければ、家にある食器洗剤や砂糖だけでも作れます。 この液をストローや、吹き棒につけて、下向きにゆっくりふくらませて落とします。そして軍手など手袋をした手で受けると、弾ませたり、手の上に乗せることもできます。ぜひチャレンジを!
最後にひとこと
小野昌弘学芸員
このページでは文字だけで小難しいことを書いてしまいましたが、実際のショーは、お子さんだけではなく、大人の方も楽しくワクワク見てもらえるはずです。ぜひ、期間中に見に来てください。お待ちしております。
スタッフだより
- 第150回 ノーベル賞受賞100年記念「アインシュタイン展」
- 第149回 全天周映像作品「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」
- 第148回 プラネタリウム「天王星発見240年」
- 第147回 南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究―
- 第146回 プラネタリウム「冬の天の川」
- 第145回 プラネタリウム「HAYABUSA2 ~REBORN」
- 第144回 サイエンスショー「ふしぎな形」
- 第143回 プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」
- 第142回 ミニ企画「積み木のルーツ~フレーベル『恩物』」展
- 第141回 プラネタリウム「夜空の宝石箱『すばる』」
- 第140回 いろいろな楽器のグループ分け
- 第139回 サイエンスショー「電池がわかる」
- 第138回 プラネタリウム「星空歴史秘話」
- 第137回 プラネタリウム「木星と土星の世界」
- 第136回 「蜃気楼(しんきろう)」を見てみませんか?
- 第135回 プラネタリウム「宇宙ヒストリア~138億年、原子の旅~」
- 第134回 プラネタリウム。リニューアルの舞台裏
- 第133回 展示場のリニューアル
- 第132回 大阪市立科学館と大阪大学
- 第131回 展示場リニューアル準備 ~気象コーナー~
- 第130回「はやぶさ2」
- 第129回 スペシャルナイト「さよならインフィニウムL-OSAKA」
- 第128回「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」
- 第127回「スーパー磁石で大実験」
- 第126回「科学デモンストレーター10周年」
- 第125回「火星大接近」
- 第124回 サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」
- 第123回 プラネタリウム「眠れなくなる宇宙のはなし」
- 第122回 プラネタリウム「はるかなる大マゼラン雲」
- 第121回 サイエンスショー「虹でじっけん、光のせかい」
- 第120回 幼児のための企画展「にじのせかい」
- 第119回 プラネタリウム「ブラックホール合体!重力波」
- 第118回 企画展「大阪市立科学館資料で見るノーベル賞展」
- 第117回 サイエンスショー「マイナス200℃のふしぎ」
- 第116回 プラネタリウム「秋の夜長に月見れば」
- 第115回 「大人も子どもも、紫キャベツ!」
- 第114回 「空を眺めると…~夏の雲はモクモク雲~」
- 第113回 プラネタリウム「木星と土星を見よう」
- 第112回 プラネタリウム「見上げよう!未来の星空」
- 第111回 企画展「石は地球のワンダー~鉱物と化石に魅せられた2人のコレクション~」
- 第110回 プラネタリウム「見えない宇宙のミステリー~謎の光・X線をとらえろ~」
- 第109回 「星図の描き方」
- 第108回 サイエンスショー「静電気なんてこわくない!?」
- 第107回 プラネタリウム解説デビュー裏話
- 第106回 サイエンスショー「ふしぎな形にだまされるな!」
- 第105回 「化学と宮沢賢治」
- 第104回 プラネタリウム「星空オールナイト」
- 第103回 プラネタリウム「火星・土星・冥王星ツアー」
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- 第101回 この夏は「花火×化学」
- 第100回 プラネタリウム「銀河の世界」
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- 第92回プラネタリウム「ブラックホール」
- 第91回サイエンスショー「赤青緑の光サイエンス」
- 第90回国際光年協賛「花火の色とひかり展」
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- 第88回プラネタリウム「ボイジャー太陽系脱出」
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- 第85回 サイエンスショー「バランス大実験」
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- 第84回 プラネタリウム「ビッグバン~宇宙ヒストリア~」
- 第83回 サイエンスショー「水の科学」:凍らない水
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- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(前編)
- 第76回 プラネタリウム「南十字星にあいにいこう」
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- 新年のごあいさつ
- 第74回 サイエンスショー「炎のアツい科学」
- 第73回 プラネタリウム「オーロラ」
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- 第69回 サイエンスショー「マイナス200℃の世界」のご紹介
- 第68回 プラネタリウム2013年夏のプログラム紹介
- 第67回 くうきフシギ発見!~シーオーツーのひみつ~
- 第66回 プラネタリウム「未来の星座を見てみよう」
- 第65回 パンスターズ彗星!
- 第64回 サイエンスショー「サウンド・オブ・サイエンス♪」
- 第63回 『宇宙のハーモニー ~奇跡の地球に生まれて~』 のできるまで
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「オーロラ」
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- 第61回 展示場3階「色の化学」
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- 第59回 光のヒ・ミ・ツ
- 第58回 企画展「渋川春海と江戸時代の天文学」を開催します
- 第57回 新スタッフ紹介
- 第56回 プラネタリウム・キッズタイムと新プログラム
- 第55回 金環日食
- 第54回 そらみたことか-気象光学現象について-
- 第53回 電気科学館の思い出
- 第52回 科学デモンストレーターとは何か?
- 第51回 「世界化学年2011」を振り返る
- 第50回 プラネタリウムリニューアルオープン
- 第49回 皆既月食
- 第48回 新展示「風車」登場!
- 第47回 アンドロメダ銀河の正体
- 第46回 花火の化学展
- 第45回 七夕にまつわる新発見!
- 第44回 「蜃気楼」ってなんだろう
- 第43回 新館長よりご挨拶
- 第42回 科学館ミニブック 第2弾!第3弾!登場
- 第41回 世界化学年2011
- 第40回 アジアの星と神話
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- 第38回 はやぶさ帰還カプセル展示を終えて
- 第37回 科学館のおすすめ展示 その1
- 第36回 新スタッフ紹介
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- 第34回 「はやぶさ」遂に地球へ帰還
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- 第32回 展示場をより楽しむ方法
- 第31回 サイエンスショーができるまで
- 第30回 科学館天文台
- 第29回 モバイルプラネタリウム
- 第28回 宇宙の「謎」を解き明かす
- 第27回 流星群を観察してみませんか?
- 第26回 20周年を迎えて
- 第25回 はじめまして!
- 第24回 「皆既日食」見て来ました!
- 第23回 「7月22日、日食を見よう!」
- 第22回 「広報担当S&Yの試写レポート」
- 第21回 「宇宙がわかる」
- 第20回 「HAYABUSA」公開開始!
- 第19回 「いろいろ集めてます!第2弾」
- 第18回 「世界天文年2009」
- 第17回 「元素がわかる」
- 第16回 「ペルセウス座流星群を見よう!」
- 第15回 「新!展示場 誕生」
- 第14回 「天の川を見よう」
- 第13回 「リニューアルまであと2ヶ月!」
- 第12回 「サイエンスガイドって?」
- 第11回 「137億年の歴史」
- 第10回 「プラネタリウムのライブ解説」
- 第9回 「いろいろ集めてます」
- 第8回 「電気びりびり」
- 第7回 「プラスチック 100年」
- 第6回 「プラネタリウムの今昔」
- 第5回 「結晶の世界」
- 第4回 「密着!学芸員」
- 第3回 「そらみたことか」
- 第2回 「流れ星を追いかける男」
- 第1回 「ほないくで」
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