スタッフだより

第85回 サイエンスショー「バランス大実験」

2015年1月10日

サイエンスショー「バランス大実験」の制作を担当した長谷川学芸員に話を聞きました。
現在、展示場3階で、サイエンスショーは「バランス大実験」を行なっています。「やじろべえ」や「おきあがりこぼし」等がどうして倒れないか、「重心」がどこにあるかを探っていくことで、そのヒミツを解き明かしています。
しかし、この「バランス大実験」がこのように皆さんに見ていただけるようになるまでに、ボツになった実験も多いのです。サイエンスショーでは、好評だったテーマを数年後にリバイバルすることも多いのですが、今回の「バランス大実験」は初めてのテーマ。この実験は面白いのか?お客さんはどんな反応をするのか?どういうストーリーにするのがわかりやすいのか?などなど、初めてやるテーマでは、検討しなければいけないことがいっぱいです。
そのため、わかりにくい実験、難しい実験、ストーリーから外れてしまった実験などがボツになってしまいます。そこで、サイエンスショーではボツになってしまった実験を、ここでご紹介いたしましょう。

ショートケーキは同じ大きさ?

厚紙で翼の模型を作ってみました。ちょっと先が丸く、尾っぽがとがった、すこし変わった形をしいてます。この形は「流線形」といって、空気抵抗が小さいことが知られています。この翼の模型の前から風を当てると…、翼が浮かび上がりました。この力が働くおかげで飛行機は飛び続けることができるのですね。「揚力」と呼ばれるこの力は、平らな板にだって働きます。でも、風に対して板が水平なときはダメ。少し前の方を持ち上げなければ揚力は働きません。実は、翼はいろんな形をしていていいのですが、風に対して、あるいは飛行機が進む向きに対して、支えるもののない空中で、ある一定の角度を保たなければならないのです。

三角形のショートケーキを、重心を通る線で切るとちょうど半分になっているでしょうか?写真のような板でやってみると、あれっ?右の方が重いですね。「重心」というと重さの中心なんだから、そこで切れば半々の重さになりそうな気もしますが、片側が細くて反対側が太いと、このように重さは違うのです。天秤ばかりでは、皿のところにどんどん物をのせていっても、右側のおもりの位置をずらせば釣り合いますね。ですから、釣り合っているからといって、左右の重さが同じとは限らないのです。「重心」って案外ムツカシイ・・・。

本を積み上げてずらしていくと…

スィーっと飛ぶためには、翼に働く「揚力」が大事なことが分かりました。翼が一定の角度を保たないと揚力が働かないことも分かりました。では、支えるもののない空中でどうやって姿勢を一定に保っているのでしょうか。飛行機はまっすぐ飛ぶものだと思ってませんか?でもバランスが崩れると同じ姿勢で飛び続けることができません。その方法とは…。

写真のように本を積み上げて少しずつずらしていくと、一番上の本が一番下の本からはみ出させることはできるでしょうか?写真ではまだ少し重なっていますね。

本だと少し傾いてくるので、板でやってみました。すると、わずか6枚でこれだけずらすことができました。でもよく見ると、上の方の板は大きくずれているのに、下の方の板はあまりずれていませんね。実はこれ、上の板からずらしていったのです。まず一番上の板を落ちないギリギリまでずらし、次に上から1枚目と2枚目をいっしょにずらして落ちないギリギリまでずらし、その次は上から3枚目までをいっしょにずらして落ちないギリギリまで…としていくと、このように大きくずらすことができるのです。

背の高い「おきあがりこぼし」

「おきあがりこぼし」は、底を丸くして、重心を低い位置にすることで、倒しても起き上がってきます。そこで、この効果をなるべく高くして、背の高いおきあがりこぼしを・・・と思って作ったのが、この黄色いもの(左)。本当は1mくらいにしたかったのですが、50cmくらいにしないと倒れてしまいました。
しかも、大きく傾けるとこれでも倒れてしまいます。
ということで、サイエンスショーでは、市販のパンチングバック(右)を用いていて、この黄色いおきあがりこぼしはお蔵入りとなってしまいました。

最後にひとこと


長谷川学芸員

ぜひサイエンスショー「バランス大実験」をご覧ください。 くわしい上演スケジュールはこちら
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