スタッフだより

第54回 そらみたことか-気象光学現象について-

2012年4月7日

雨上がりにきれいな虹を見つけるとなんだか楽しい気持ちになりますね。でも虹のようで虹でない現象もいろいろとあるんだそうです。今回は、光学現象について担当の長谷川学芸員に話を聞きました。

虹を見るコツを教えてください

みなさんもきっと虹を見たことはあると思います。太陽と反対側の空に、大きな半円形の虹が見えると、なんかちょっと得した気分になりますね。虹は雨上がりに見えるとよく言います。確かに雨がやんだ後、急に晴れてきたときに見えることもあるのですが、雨が降っているのに太陽が見える、「お天気雨」とか「狐の嫁入り」と呼ばれる状態の時にも見えることが多いのです。こんなことをちょっと知っていると、虹を見るチャンスも増えるかもしれません。

虹のような現象について教えてください


(環天頂アーク)

あまり知られていませんが、太陽のずっと上の方に虹が逆さまになったように見える「環天頂(かんてんちょう)アーク」、太陽の横に虹のかけらのようなものが見える「幻日(げんじつ)」、太陽や月のまわりに大きな輪が見える「暈(かさ)」、雲に色がついたように見える「彩雲(さいうん)」などなど。こういった現象を、まとめて気象光学現象と呼んでいます。なかには虹よりもずっときれいに見えるものもあります。
展示場4階で主な光学現象について写真展もおこなっています。(2012年4月14日~5月27日予定)

幻日

暈(かさ)

彩雲

さらに詳しく知りたいときは?


(環天頂アーク)

気象光学現象には、ちょっと難しい名前のものが多いのですが、どんな時に、どこに、どんなものが現われやすいのかを知っていると、案外、虹よりもよく見えるものもあります。実際に、いつどんな現象が見えたか写真を撮って記録していくと、いろいろな現象を合わせて1年間で数十回も見えました。その時の記録は、こちらの「そらみたことか」のページに載せています。
そこで、この「そらみたことか」をミニブックにまとめました。主な気象光学現象について、どんなときにどこにどんなものが現われるのか、またどうしてそんな現象が見えるのかを、写真と図で解説しています。ぜひこの本を片手に、今まで見たことのない現象に出会っていただければと思います。

虹は7色ですよね?

虹などの気象光学現象はカラフルできれいですが、この色の元になっているのは太陽の光です。白い色というか何も色が付いていないように思える太陽の光は、こんなカラフルな色の光からできているのです。なんだか不思議な気がしますが、逆に虹の7色の光を混ぜ合わせると、どの色にも片寄っていない白い色の光になるのです。

では、白い色の光を虹色に分けると、必ず虹の7色になるかというと、そうとは限りません。光を虹色に分けることを「分光(ぶんこう)」、分光でできた虹色の光の帯を「スペクトル」といいます。電球の光を分光すると、太陽の光と同じようなスペクトルになりますが、蛍光灯の光を分光すると、いくつかの色が飛び飛びになったスペクトルになります。
展示場3階で行なっているサイエンスショー「虹のひみつ」(2012年3月1日~5月27日)では、回折格子というシートを使って、さまざまな光を分光してご覧いただいています。このように光を分光することは、単にきれいなだけではなく、何が光を出しているのか、どんな状態なのかなど、さまざまなことがわかってくるのです。

最後にひとこと


長谷川学芸員

太陽の光を調べれば太陽が何からできているのかがわかってきたり、星の光を調べればその星が近づいてきているのか遠ざかっているのがわかったり…。物理や化学など他の分野でも、光を分光することは、とても重要な実験手段なのです。 みなさんもぜひ、サイエンスショーで実際にいろいろな光を分光してみてください。 長谷川能三のホームページ

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