スタッフだより
第99回 プラネタリウム「星の誕生」
2016年4月5日
今回のプラネタリウムプログラム「星の誕生」は、西野学芸員と嘉数学芸員の二人が担当したとの事で、お二人にお話を伺いました。
どんな内容ですか?
嘉数:夜空を見上げるとたくさんの星たちが輝いています。星はいつでも同じように輝いていますし、星をつないだ星座の形も変わらないように見えますね。でも、数千万年、数億年という長い時間スケールの中で、星は一生を送っていることがわかってきました。その中で、星が誕生するしくみも長らく謎のままでした。でも、ここ数十年のあいだ、天文学の発達によって謎が解けてきたんです。そこで、プラネタリウムで謎解きをしていきます。
「星の誕生」というタイトルですが、星も生まれるんですか?
西野:はい。星にも一生があって、私たちと同じように生まれて、やがて死をむかえます。ただ、星の一生はとても長いので、私たち人間や動物のように、一つの星が生まれて、成長していく様子を見届けることはできません。でも、夜空に輝くいろいろな星を詳しく見ていくと、星が何からできているのか、どのように進化するのか、ということがわかってきます。そうした星たちのようすをつむぎ合わせて、星の誕生のしくみがようやくわかってきたのです。
星の生まれる様子って、見えるのですか?
西野:実は、まさに星が生まれようとする様子は、私たちの目には見えません。というのも、生まれる前の星は、私たちの目に見える光、つまり可視光を出していないからです。でも、そのかわりに私たちの目には見えない光、電波や赤外線を出していることがわかりました。そこで近年、電波や赤外線をとらえる望遠鏡が登場し、星の誕生の様子がようやく明らかになってきたのです。
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可視光でとらえた、おうし座分子雲。 電波望遠鏡でとらえた、おうし座分子雲。
可視光では、黒くて何もないように見える。 分子雲のガスが出している電波をとらえている。
白い十字のマークのところに、星のたまごが
発見されている。
写真提供:加藤 久良 Ⓒ大西利和、徳田一起(大阪府立大学)
どんな星の様子を紹介しているのですか?
西野:はい。この番組では、2種類の星の誕生物語をご紹介しています。
1つは、私たちの太陽と同じように自ら輝く恒星たちが誕生する様子です。夜空に輝く星座を形作る星は、すべて恒星とよばれ、太陽と同じように自ら輝いています。こうした星がどのように生まれるのか、その詳しい様子をご紹介しています。
もう1つは、地球と同じような恒星のまわりを回る惑星たちが誕生する様子です。実は宇宙には、私たちの太陽系と同じように、恒星のまわりを回る惑星たちが次々と発見されています。そうした惑星がどのように生まれるのか、その詳しい様子をご紹介しています。
プログラムの見どころは?
嘉数:最新のALMA望遠鏡を紹介した画像は、実際に現地で撮影したものです。長野県野辺山の電波望遠鏡の姿もあわせて、迫力満点。現地に行って、天文学の話を聞いた気分になりますよ。
西野:今回、恒星や惑星の誕生を解明するために欠かせない、電波望遠鏡での観測成果をたくさんご紹介しています。これらの写真や解析データの提供にあたっては、大阪府立大学の先生をはじめ、多くの研究者の方に協力をいただきました。そうした最先端の研究成果についても、じっくりご覧いただきたいですね。
南米チリのアタカマ砂漠に建設された「アルマ望遠鏡」
Ⓒコニカミノルタプラネタリウム株式会社
最後にひとこと
嘉数次人学芸員
西野藍子学芸員
嘉数:今回は、星がどうやって生まれるのかという、天文学でもホットな話題を紹介しています。研究が進んできた様子や方法などのお話も交えていますので、初めて話を聞く方だけでなく、科学に強い興味を持っている方にもぜひ見ていただければ嬉しいです。
西野:星の誕生のしくみを解明することは、今まさに最先端の天文学の研究とも言えます。日本も参画しているアルマ望遠鏡での観測は、今日も続けられています。今後、あっと驚くような観測成果が出てくるかもしれません。ぜひ、そんなニュースも期待しながら、プラネタリウム「星の誕生」をご覧いただければと思います。
嘉数次人ホームページ 「なにわの科学史のページ」
西野藍子ホームページ 「天文のすすメ-宇宙(そら)を見上げよう-」
スタッフだより
- 第150回 ノーベル賞受賞100年記念「アインシュタイン展」
- 第149回 全天周映像作品「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」
- 第148回 プラネタリウム「天王星発見240年」
- 第147回 南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究―
- 第146回 プラネタリウム「冬の天の川」
- 第145回 プラネタリウム「HAYABUSA2 ~REBORN」
- 第144回 サイエンスショー「ふしぎな形」
- 第143回 プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」
- 第142回 ミニ企画「積み木のルーツ~フレーベル『恩物』」展
- 第141回 プラネタリウム「夜空の宝石箱『すばる』」
- 第140回 いろいろな楽器のグループ分け
- 第139回 サイエンスショー「電池がわかる」
- 第138回 プラネタリウム「星空歴史秘話」
- 第137回 プラネタリウム「木星と土星の世界」
- 第136回 「蜃気楼(しんきろう)」を見てみませんか?
- 第135回 プラネタリウム「宇宙ヒストリア~138億年、原子の旅~」
- 第134回 プラネタリウム。リニューアルの舞台裏
- 第133回 展示場のリニューアル
- 第132回 大阪市立科学館と大阪大学
- 第131回 展示場リニューアル準備 ~気象コーナー~
- 第130回「はやぶさ2」
- 第129回 スペシャルナイト「さよならインフィニウムL-OSAKA」
- 第128回「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」
- 第127回「スーパー磁石で大実験」
- 第126回「科学デモンストレーター10周年」
- 第125回「火星大接近」
- 第124回 サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」
- 第123回 プラネタリウム「眠れなくなる宇宙のはなし」
- 第122回 プラネタリウム「はるかなる大マゼラン雲」
- 第121回 サイエンスショー「虹でじっけん、光のせかい」
- 第120回 幼児のための企画展「にじのせかい」
- 第119回 プラネタリウム「ブラックホール合体!重力波」
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- 第116回 プラネタリウム「秋の夜長に月見れば」
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- 第110回 プラネタリウム「見えない宇宙のミステリー~謎の光・X線をとらえろ~」
- 第109回 「星図の描き方」
- 第108回 サイエンスショー「静電気なんてこわくない!?」
- 第107回 プラネタリウム解説デビュー裏話
- 第106回 サイエンスショー「ふしぎな形にだまされるな!」
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- 新年のごあいさつ
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- 第63回 『宇宙のハーモニー ~奇跡の地球に生まれて~』 のできるまで
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「オーロラ」
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「木星」
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- 第56回 プラネタリウム・キッズタイムと新プログラム
- 第55回 金環日食
- 第54回 そらみたことか-気象光学現象について-
- 第53回 電気科学館の思い出
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- 第50回 プラネタリウムリニューアルオープン
- 第49回 皆既月食
- 第48回 新展示「風車」登場!
- 第47回 アンドロメダ銀河の正体
- 第46回 花火の化学展
- 第45回 七夕にまつわる新発見!
- 第44回 「蜃気楼」ってなんだろう
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- 第36回 新スタッフ紹介
- 第35回 大型映像を見よう
- 第34回 「はやぶさ」遂に地球へ帰還
- 第33回 科学館もおでかけします
- 第32回 展示場をより楽しむ方法
- 第31回 サイエンスショーができるまで
- 第30回 科学館天文台
- 第29回 モバイルプラネタリウム
- 第28回 宇宙の「謎」を解き明かす
- 第27回 流星群を観察してみませんか?
- 第26回 20周年を迎えて
- 第25回 はじめまして!
- 第24回 「皆既日食」見て来ました!
- 第23回 「7月22日、日食を見よう!」
- 第22回 「広報担当S&Yの試写レポート」
- 第21回 「宇宙がわかる」
- 第20回 「HAYABUSA」公開開始!
- 第19回 「いろいろ集めてます!第2弾」
- 第18回 「世界天文年2009」
- 第17回 「元素がわかる」
- 第16回 「ペルセウス座流星群を見よう!」
- 第15回 「新!展示場 誕生」
- 第14回 「天の川を見よう」
- 第13回 「リニューアルまであと2ヶ月!」
- 第12回 「サイエンスガイドって?」
- 第11回 「137億年の歴史」
- 第10回 「プラネタリウムのライブ解説」
- 第9回 「いろいろ集めてます」
- 第8回 「電気びりびり」
- 第7回 「プラスチック 100年」
- 第6回 「プラネタリウムの今昔」
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- 第4回 「密着!学芸員」
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- 第2回 「流れ星を追いかける男」
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