スタッフだより

第10回  「プラネタリウムのライブ解説」

2008年2月1日

スタッフだよりも、気が付けば早いものでもう10回目。
今回は、天文担当の渡部学芸員に登場です。 科学館では、毎日ライブでプラネタリウムの解説を行っています。そこで、プラネタリウムの解説について、素朴な5つの疑問を渡部学芸員に聞いてみました。


◆渡部学芸員(英国オックスフォードの科学史博物館にて)

1.プラネタリウムの解説に「七つ道具」というのは、あるのですか?
最大の道具は、プラネタリウムシステムなのですが、なんかイメージが違うような気がしましたので「七つ道具」を辞書で引いてみました。
一組にして携える種々の小道具
武士が戦陣に携えたという七つの道具
なんて用例がでています。携えるということから、持ち運ぶ、あるいは持ち運べるという意味かなと思います。
そうなると、プラネタリウムのように設備として固定されているものは除外しないといけません。マイクやハンドポインターも設備ですから除外です。
いつも、プラネタリウムには手ぶらでいっているので、そういう意味で、道具はないのですが、無理矢理考えると・・・
1 星座早見
2 こよみハンドブック
 (科学館オリジナルの天文カレンダーとデータブック)
3 BGM用のCD
 (担当者によってBGMが変わります!)
4 ミニ懐中電灯
5 たまにですが、水やのどスプレー
6 USBメモリ
 (画像データやプログラムファイルが入っています)
7 内線用PHS
 (故障時の連絡などに使用)
プラス
1 時計
 (解説の時間を計るためや、スタート時間を見るために3つの時計を使っています
 1つは、明るいところではっきり見える時計。
 1つは、暗いところでまぶしくない程度に光る時計。もう1つは腕時計で、二つの時計が見えないときや、時計あわせにつかいます)
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2.満員の300名のお客様が待っているなか、どんな気持ちで解説台にあがるんですか?
楽しいですね。大勢のお客さんのほうが、お客さんに助けてもらえるので、気楽に解説できます。
少人数で、気むずかしい顔の人が並んでいるときが緊張しますね。
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3.いままで解説中に起こったハプニングを教えてください。
よくあるのが、赤ちゃんが泣き出すこと。
こればかりはどうしようもありません。「プラネタリウムがおもしろく感じられる年になったときにまた来てください」といいつつ退出していただきます。
はずかしながら、寝てしまったことがあります。
風邪を引いていて、症状を抑えるために風邪薬をのんでいたのですが、前半の解説(今夜見える星空について)が終わって、自動演出(テーマ)に入ってしばらくして意識が飛びました。
演出は自動で朝になるので、それはいいのですが、場内を明るくするのは手動だったので、同僚に助けてもらいました。
以来、風邪薬を飲んで投影はしないようにしています。
泥棒?がいたことがあります。暗くなったのをみはからって、通路にあった荷物をひったくったのですが、ひったくって逃げる先の扉が閉鎖しており、おまけに暗闇に階段だからひっくり返って、御用となりました。
当人は、間違って荷物をもってしまったと主張していましたし、被害もなかったので警察を呼ぶことはしなかったと思います。
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4.スタッフの間では渡部学芸員は、投影時間がのびる!ということが常識ですが・・・?
まあ、そもそもいいたいことをしぼっても、時間が足りないのですが、私の投影は、お客さんと対話しながらやることが多いです。
対話の加減によって、ハプニングが起こりやすく、そうすると、その分、全体の時間に影響します。
時間がかかるポイントは、お客さんの気持ちをほぐすときです。
アイスブレークとか言っているようですが、対話しながらこちらのペースに持って行きます。そのとき、反応が悪いと、時間に影響します。
あまり反応がないときは、やり方を変えて演説調で話しますけれども。そういうときは、むしろ短くなってしまって、かえって困ることがあります。
また、どうも話したことが理解していただけていないなあ、とか楽しんでもらえないなあ という時は、言い換えをしたり、重ねて説明したりと長くなりがちです。
経験を経て、だいぶコントロールできるようになってきましたが、そうやって時間を減らせると、泣く泣く削った内容を入れたくなります。
そして、同じことの繰り返しですね。
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5.科学館以外の場所でした星の解説で、思い出に残っている場所は?
カナダにオーロラ見物に行ったときに、現地にいた100人ばかりの人にその場で解説をしたことがあります。
というのは、みなさん、まったく星空のこと、オーロラのことを知らないでオーロラ見物にこられていたんですね。また、ガイドが話していた内容もあやしかったので、ついつい近くの人に話していたら、みんながもっと聞かせてくれといってきて、ついにはマイナス20度のところで、声を張り上げて解説していました。ほとんどの人は知らない人でした。
富士山の五合目で流星見物をしていたときに、同行していた高校のクラブの後輩に解説をしていたら、これまた近くの人がよってきて、ついにはマイクをかりて数百人の前で野外解説をしたこともあります。
流星が流れている5時間以上の間、次から次へ、求められるままテーマを変えながら解説していました。
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プラネタリウムの解説について、ほんの少しですがご紹介しました。
プラネタリウムをご覧いただいた後に、後ろを振り返ってみてください。小さい黒い箱のような部屋、そこがプラネタリウムの解説台です。覗き込んでみると、プラネタリウムの解説を終えて一息ついている担当者が座っています。
担当者によって、プラネタリウムの解説は全く違いますので、次回は今回聞いた解説者とは別の解説者を選んでみては、いかがでしょうか?プラネタリウムが何倍も楽しむことができると思います。ぜひ試してみてください。

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