スタッフだより

第71回 プラネタリウム「宇宙のトップスター」

2013年10月3日

夜空の星はなぜ輝いているのでしょうか??

夜空にはいろいろな星が輝いています。星は天にはり付いているように見えますが、実際には近い星もあれば、遠い星もあります。星までの距離は、光の速さで何十年、何百年もかかる遠いところにあります。
こんな遠くにあっても見ることができるのは、星がとても明るく輝いているからです。夜空に輝く多くの星の正体は、実は太陽と同じものなのです。太陽の正体は熱く燃えさかるガスの塊です。しかしこの太陽自体も、宇宙ではありふれた星に過ぎないのです。

どうしていろいろな明るさの星があるのでしょうか?

星の中にはとても明るく輝く星もあれば、目で見えるかどうか分からないくらいの暗い星もあります。さらに、望遠鏡でないと見えない星もあります。これはどうしてなのでしょうか?
星の明るさが違う理由として、まず星までの距離の違いがあげられます。遠くにある星ほど、当然暗く見えます。
しかし中には、遠くにあっても明るく見える星もあります。例えば、七夕のおりひめ星(こと座のベガ)までの距離は25光年、光の速さで25年かかる距離にあります。一方、ひこぼし(わし座のアルタイル)までの距離は17光年です。2つの星は同じぐらいの明るさに見えますが、おりひめの方が少し遠くにあるので、実際にはおりひめの方が明るい星なのです。

もっと明るい星があります。夏の大三角の星の一つ、はくちょう座のデネブは1等星と明るい星ですが、他の星に比べて遙かに遠く、1400光年のかなたにあります。こんなに遠くにあっても明るく見えるということは、実はデネブは、本当はとてつもなく明るく、なんと太陽の6万倍もの明るさで輝いているのです。これは星の中でも最大級に明るい星です。
星には大きい星もあれば、小さい星もあります。大きい星は、燃料となるガスを一気に使ってとても明るく輝きます。デネブは直径が太陽の200倍もある大きな星で、その分、明るさも桁違いに明るいのです。

一番明るい星は、どのくらいの明るさがあるのでしょうか?

デネブが一番明るい星かと言えば、そうではありません。もっともっと明るく、太陽の100万個ぶんものエネルギーを放つ星があるのです。いったい、どこにそんな星はあるのでしょうか。
近年の天文学の進歩によって、はるか遠くにある星、あるいは目では見えない光を出している星も見つかるようになってきました。太陽の100万倍もの明るさで輝く星の多くは、実は雲に隠されているのです。
宇宙には水素のガスでできた雲である星雲がただよっています。星はこうした星雲の中で誕生します。太陽の100万倍もの明るい星も同様です。星雲の奥深くにある星は、雲によってその明るさを遮られて見ることはできません。
このような明るい星は想像を絶する輝き方をしており、自分自身を吹き飛ばしながら猛烈な勢いで輝いています。

太陽の100万倍もの明るさで輝く星の一つ、イータカリーナ
(C) Jon Morse (University of Colorado), and NASA

最後にひとこと


江越学芸員

太陽の100万倍もの明るい星の多くは、残念ながら多くは星雲に隠されて見えません。しかし見えなくても、確かに存在しているのです。いったいどんな姿をしているのでしょうか。 今回のプラネタリウムでは、星雲の奥深くへと辿り、そんな強烈に輝く星の姿を紹介します。


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