スタッフだより
第133回 展示場のリニューアル
2019年2月2日
今回のスタッフだよりは、この春にお披露目予定の展示場リニューアルについて、小野学芸員に話を聞きました。
現在、久々に展示場の改装を行っています。前回の展示改装は2008年7月に行いましたので、10年以上ぶりの作業です。今回の展示改装は、展示場の4階の前半部分で行っています。展示場の4階のテーマは「宇宙とその発見」。このテーマ自体の変更はなく、主に天文関係の展示をリニューアルしている真っ最中です。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、図1の図面上で色が塗られている部分が大きく変わります。
この4階展示場には、25年近く設置している展示物もあります。そのため、どうしても展示が古くなり、メンテナンスに手間がかかったり、情報がアップデートされていなかったり、展示物自体がボロボロなどでお客様をお迎えするにも不都合なことがありました。実は、展示物自体のボロは、毎日展示物を点検している私たちは、展示場の照明の加減もあって、「ボロの状態」が普通の状態に見えてしまうので、このあたりについては鈍感になっていました。
それでも、新しい展示物を単品製作で導入したり、他館の新しい展示を見た後は、ああ、ボロい…と気づき、悲しくなるのでした。
そして今回、約1億円の規模でこれら古かった展示物を置き換え、最新の科学的知見や、これまでの展示製作の工夫を生かしながら、今までにない天文関係の展示物を導入することができるようになりました。
現在の展示場は?
展示物を新しく入れるためには、現在まで使っていた展示物を撤去しなければなりません。さすがに長年使って、大事にしていた展示物がなくなるのは悲しいのですが、新しいものを作り出すために泣く泣く撤去作業をしてもらいます。ここは、あまり皆さんには見てもらいたくない景色です。というか、こんなところも休館中のツアーとして見てもらうのも「あり」、だったのかもしれません。
現在は、古い展示物が撤去され、新しいカーペットで床がきれいになっています。
新しい展示
新しい展示を作るには、各学芸員がテーマを決めたり、業者からの提案を受けて、その内容を精査して作っていきます。今回はプロポーザルという形式で、業者さんの提案を受け、それらについて、内容を確認し、より良い手法に置き換えながら展示の製作を進めており、天文担当学芸員の皆さんが大活躍しています。
ちなみに展示全体に関する会議が2週間に1度の割合であり、その間、メールでのやり取りや、分科会と言って、各担当者が抱える展示案件について随時打ち合わせを行い、1つ1つ展示の製作や、キャプションの制作作業を進めているところです。
今回の展示改装では、新規製作、既存展示の改修等を含めて40点以上の展示が新しくなります。その中の展示2つほどご紹介しましょう。
まず、お客様の皆様が地下1階でエレベーターに乗り、4階で降りると前に現れるのは、激しい太陽活動を間近に観察することのできる太陽の展示です。これは、5億分の1の大きさの太陽の半球に、さまざまな太陽観測衛星で観測された映像を、プロジェクションマッピングの技術により、観察できるようにしたものです。
本物の太陽は、とてもまぶしくて見ることができませんが、さまざまな波長で観察した時に、太陽はどのような表情を見せているのかを可視化したものです。実際の観測映像を映し出しておりますので、とても迫力があります。太陽表面に見えるプロミネンスなども、試写の時にははっきりと見えていました。光り輝いている太陽が、どんな表情を見せているのか、ぜひこの展示で確認してください。
また、展示製作当時(1994年)、国内の科学館としては、初めて実物の元素を一覧できるようにした周期表の展示も今回新しく作り変えます。実際に私たちが手にすることのできる元素は、当時から変わりませんが、この25年間に新しい元素が合成され、113番目の元素は、ご存知のニホニウムと命名されましたね。これまでは、私が自作したパネルを入れて、ご覧いただいていたわけですが、今回は業者さんがきれいに作るパネルを使うので、118個の枠がきれいに収まった、新しい周期表をご覧いただけるようになります。
最後にひとこと
小野昌弘学芸員
ということで、現在3月30日(土)のリニューアルオープンに向けて鋭意作業中の展示改装、皆様お楽しみに!
スタッフだより
- 第150回 ノーベル賞受賞100年記念「アインシュタイン展」
- 第149回 全天周映像作品「ブラックホールを見た日~人類100年の挑戦~」
- 第148回 プラネタリウム「天王星発見240年」
- 第147回 南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究―
- 第146回 プラネタリウム「冬の天の川」
- 第145回 プラネタリウム「HAYABUSA2 ~REBORN」
- 第144回 サイエンスショー「ふしぎな形」
- 第143回 プラネタリウム「火星ふたたび接近中!」
- 第142回 ミニ企画「積み木のルーツ~フレーベル『恩物』」展
- 第141回 プラネタリウム「夜空の宝石箱『すばる』」
- 第140回 いろいろな楽器のグループ分け
- 第139回 サイエンスショー「電池がわかる」
- 第138回 プラネタリウム「星空歴史秘話」
- 第137回 プラネタリウム「木星と土星の世界」
- 第136回 「蜃気楼(しんきろう)」を見てみませんか?
- 第135回 プラネタリウム「宇宙ヒストリア~138億年、原子の旅~」
- 第134回 プラネタリウム。リニューアルの舞台裏
- 第133回 展示場のリニューアル
- 第132回 大阪市立科学館と大阪大学
- 第131回 展示場リニューアル準備 ~気象コーナー~
- 第130回「はやぶさ2」
- 第129回 スペシャルナイト「さよならインフィニウムL-OSAKA」
- 第128回「2018サイエンスサーカス・ツアー・ジャパン」
- 第127回「スーパー磁石で大実験」
- 第126回「科学デモンストレーター10周年」
- 第125回「火星大接近」
- 第124回 サイエンスショー「ふわふわ、きらきら!シャボン玉サイエンス」
- 第123回 プラネタリウム「眠れなくなる宇宙のはなし」
- 第122回 プラネタリウム「はるかなる大マゼラン雲」
- 第121回 サイエンスショー「虹でじっけん、光のせかい」
- 第120回 幼児のための企画展「にじのせかい」
- 第119回 プラネタリウム「ブラックホール合体!重力波」
- 第118回 企画展「大阪市立科学館資料で見るノーベル賞展」
- 第117回 サイエンスショー「マイナス200℃のふしぎ」
- 第116回 プラネタリウム「秋の夜長に月見れば」
- 第115回 「大人も子どもも、紫キャベツ!」
- 第114回 「空を眺めると…~夏の雲はモクモク雲~」
- 第113回 プラネタリウム「木星と土星を見よう」
- 第112回 プラネタリウム「見上げよう!未来の星空」
- 第111回 企画展「石は地球のワンダー~鉱物と化石に魅せられた2人のコレクション~」
- 第110回 プラネタリウム「見えない宇宙のミステリー~謎の光・X線をとらえろ~」
- 第109回 「星図の描き方」
- 第108回 サイエンスショー「静電気なんてこわくない!?」
- 第107回 プラネタリウム解説デビュー裏話
- 第106回 サイエンスショー「ふしぎな形にだまされるな!」
- 第105回 「化学と宮沢賢治」
- 第104回 プラネタリウム「星空オールナイト」
- 第103回 プラネタリウム「火星・土星・冥王星ツアー」
- 第102回 プラネタリウム「ファミリータイム」
- 第101回 この夏は「花火×化学」
- 第100回 プラネタリウム「銀河の世界」
- 第99回 プラネタリウム「星の誕生」
- 第98回 「スーパー磁石で大冒険」
- 第97回 「鉱物の結晶構造」
- 第96回 「だれでもできる!天体写真を写してみよう」
- 第95回 プラネタリウム「ロゼッタ、彗星を探査せよ」
- 第94回 サイエンスショー「フシギな偏光板」
- 第93回 企画展「光とあかり」
- 第92回プラネタリウム「ブラックホール」
- 第91回サイエンスショー「赤青緑の光サイエンス」
- 第90回国際光年協賛「花火の色とひかり展」
- 第89回プラネタリウム「天の川をさぐる」
- 第88回プラネタリウム「ボイジャー太陽系脱出」
- 第87回サイエンスショー「飛ばしてみよう!」
- 第86回 プラネタリウム「オーロラ」
- 第85回 サイエンスショー「バランス大実験」
- 新年のごあいさつ
- 第84回 プラネタリウム「ビッグバン~宇宙ヒストリア~」
- 第83回 サイエンスショー「水の科学」:凍らない水
- 第82回 プラネタリウム「宇宙人をさがす冴えたやり方―沈黙のフライバイ」
- 第81回 「はやぶさ2」 プラネタリウム&企画展について
- 第80回 サイエンスショー「空気パワー」
- 第79回 プラネタリウム「天の川って、なんだろう」
- 第78回 プラネタリウム「月へいこう!~おためし月面生活~」
- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(後編)
- 第77回 オーストラリア・パワーハウスミュージアム訪問記(前編)
- 第76回 プラネタリウム「南十字星にあいにいこう」
- 第75回 「都会の星」写真展
- 新年のごあいさつ
- 第74回 サイエンスショー「炎のアツい科学」
- 第73回 プラネタリウム「オーロラ」
- 第72回 企画展「色の彩えんす」まもなく終了
- 第71回 プラネタリウム「宇宙のトップスター」
- 第70回 国際会議で発表
- 第69回 サイエンスショー「マイナス200℃の世界」のご紹介
- 第68回 プラネタリウム2013年夏のプログラム紹介
- 第67回 くうきフシギ発見!~シーオーツーのひみつ~
- 第66回 プラネタリウム「未来の星座を見てみよう」
- 第65回 パンスターズ彗星!
- 第64回 サイエンスショー「サウンド・オブ・サイエンス♪」
- 第63回 『宇宙のハーモニー ~奇跡の地球に生まれて~』 のできるまで
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「オーロラ」
- 第62回 プラネタリウム新プログラム「木星」
- 第61回 展示場3階「色の化学」
- 第60回 宇宙に浮かぶ望遠鏡
- 第59回 光のヒ・ミ・ツ
- 第58回 企画展「渋川春海と江戸時代の天文学」を開催します
- 第57回 新スタッフ紹介
- 第56回 プラネタリウム・キッズタイムと新プログラム
- 第55回 金環日食
- 第54回 そらみたことか-気象光学現象について-
- 第53回 電気科学館の思い出
- 第52回 科学デモンストレーターとは何か?
- 第51回 「世界化学年2011」を振り返る
- 第50回 プラネタリウムリニューアルオープン
- 第49回 皆既月食
- 第48回 新展示「風車」登場!
- 第47回 アンドロメダ銀河の正体
- 第46回 花火の化学展
- 第45回 七夕にまつわる新発見!
- 第44回 「蜃気楼」ってなんだろう
- 第43回 新館長よりご挨拶
- 第42回 科学館ミニブック 第2弾!第3弾!登場
- 第41回 世界化学年2011
- 第40回 アジアの星と神話
- 第39回 科学館のおすすめ展示 その2
- 第38回 はやぶさ帰還カプセル展示を終えて
- 第37回 科学館のおすすめ展示 その1
- 第36回 新スタッフ紹介
- 第35回 大型映像を見よう
- 第34回 「はやぶさ」遂に地球へ帰還
- 第33回 科学館もおでかけします
- 第32回 展示場をより楽しむ方法
- 第31回 サイエンスショーができるまで
- 第30回 科学館天文台
- 第29回 モバイルプラネタリウム
- 第28回 宇宙の「謎」を解き明かす
- 第27回 流星群を観察してみませんか?
- 第26回 20周年を迎えて
- 第25回 はじめまして!
- 第24回 「皆既日食」見て来ました!
- 第23回 「7月22日、日食を見よう!」
- 第22回 「広報担当S&Yの試写レポート」
- 第21回 「宇宙がわかる」
- 第20回 「HAYABUSA」公開開始!
- 第19回 「いろいろ集めてます!第2弾」
- 第18回 「世界天文年2009」
- 第17回 「元素がわかる」
- 第16回 「ペルセウス座流星群を見よう!」
- 第15回 「新!展示場 誕生」
- 第14回 「天の川を見よう」
- 第13回 「リニューアルまであと2ヶ月!」
- 第12回 「サイエンスガイドって?」
- 第11回 「137億年の歴史」
- 第10回 「プラネタリウムのライブ解説」
- 第9回 「いろいろ集めてます」
- 第8回 「電気びりびり」
- 第7回 「プラスチック 100年」
- 第6回 「プラネタリウムの今昔」
- 第5回 「結晶の世界」
- 第4回 「密着!学芸員」
- 第3回 「そらみたことか」
- 第2回 「流れ星を追いかける男」
- 第1回 「ほないくで」
開館日カレンダー
■は休館日です
本日のプラネタリウム
残席情報
本日は休館日です。
- 所要時間
- 約45分間
お客様の安全のため、途中入場できません。
ブラウザを更新してご確認ください