スタッフだより

第49回 皆既月食

2011年11月13日

2011年12月10日、今年2回目となる皆既月食が起こります。月食とは、月が地球の影の中に入り欠けて見える現象です。今回のスタッフだよりは、この月食について、天文担当の江越学芸員に話を聞きました。

月食はどうして起きるのでしょうか?


(皆既月食)

月は三日月や半月、満月など、いろいろな形に変わります。これを月の満ち欠けといいます。
月はおよそ1カ月かけて地球の周りをまわっており、そのため太陽の光の当たり具合によっていろいろな形に見えるのです。


(月の満ち欠け)

月食というのは、太陽-地球-月がちょうど一直線に並んで、月が地球の影の中に入ることを言います。特に月がすっぽりと地球の影に入って全部欠けてしまうことを皆既月食といいます。
一方、月が一部分だけ地球の影に隠されることを部分月食といいます。月食のときには、地球の影に入ってだんだんと欠けてゆく月を見ることができます。


(月食の起こるしくみ)

太陽-地球-月がちょうど一直線に並ぶということで、月食は必ず満月の時に起こります。しかし、満月の度に月食が起きるわけではありません。それは、月が地球の周りを回る軌道と太陽の方向が少し傾いているため、ちょうど一直線に並ぶことはなかなかないからです。
12月10日の次に大阪で月食が見られるのは、部分月食なら2012年6月4日、皆既月食は2014年10月8日となります。

どのようにして観察したらいいでしょうか?

月食を観察するには特別の道具は必要ありません。月が見える場所ならどこでも観察できます。
今回の月食の欠け始めは21:45、すべて地球の影に入る皆既となるのは23:05から23:57、食の終わりは翌日の1:18です。なお、皆既となっても完全に真っ暗になるわけではなく、赤黒い月が見えます。これは、一部の光が地球の大気に曲げられて、月に届くためです。


(大阪での月食のようす)

月食の時間帯、月は南の空高いところに見えています。特に皆既の頃の高度は80度近くになりますから、ほぼ頭の真上に見えることになります。
少し遅い時間帯となりますが、翌日は日曜日ですので、夜更かし出来る方も多いかと思います。道具は必要ありませんが、双眼鏡などを使って見れば、より楽しめるでしょう。

月食と似た言葉で、日食というのもありますが…。

月食を観察するには特別の道具は必要ありません。月が見える場所ならどこでも観察できます。
今回の月食の欠け始めは21:45、すべて地球の影に入る皆既となるのは23:05から23:57、食の終わりは翌日の1:18です。なお、皆既となっても完全に真っ暗になるわけではなく、赤黒い月が見えます。これは、一部の光が地球の大気に曲げられて、月に届くためです。


(金環日食(大阪での予想))

月が地球の影に入る月食に対し、太陽-月-地球と並ぶことで、月が太陽を隠すことを日食といいます。
実は日食と月食は、比較的続いて起こることが多いのです。今回の12月10日の月食の2週間前である11月25日には南極で部分日食が起こります。そして次回2012年6月4日の部分月食の2週間前、2012年5月21日には「金環日食」が起こります。大阪でもこの金環日食を見ることができます。
金環日食は大変珍しい現象で、日本で見られたのは1987年に沖縄で見られたのが最近です。本州だと1883年に東北地方で見られたのが最後なので、実に129年ぶりということになります。
科学館でも3月から、この「金環日食」をテーマにしたプラネタリウム番組を投影します。どのように観察したらいいか分かりやすく紹介しますので、こちらもぜひご覧ください。

最後にひとこと


江越学芸員

今年6月の月食は、全国的に曇りで見えなかった地域が多かったのですが、今回は晴れることを期待しましょう。最初から最後まで見ると、3時間半かかります。寒い季節となりますので、風邪を引かないよう厚着をして観測しましょう。 江越 航のホームページ


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