スタッフだより

第29回 モバイルプラネタリウム

2010年1月14日

2010年が始まりましたね。昨年以上に「ようこそ!科学館」ページを充実させていきたい思っています。今年もよろしくお願いします。
さて、2010年のスタートは、「モバイルプラネタリウム」をご紹介したいと思います。今回お話を聞いたのは、渡部学芸員です。「モバイルプラネタリウム」という言葉をすでに知っている方も、全く想像もつかない方も、ぜひ読んでみてください。きっと「モバイルプラネタリウム」を体験してみたくなるはずです。


渡部学芸員

では、まず「モバイルプラネタリウム」って何ですか?

モバイルプラネタリウムは、私が提唱した言葉で、移動・設置できるドームスクリーンを持ったプラネタリウムのうち、数十分程度の短時間で設置・撤収ができるシステムです。海外では、portable planetarium(ポータブル・プラネタリウム)と表すことが多いですね。


モバイルプラネタリウム

モバイルプラネタリウムでは、ふだん科学館に足を運ばない方や運べない方にも、プラネタリウムの投影を見ていただくことができます。また、貸し切りになりますので、科学館のプラネタリウムではできない様々なイベントへの対応も可能です。

どんなことをするんですか?

モバイルプラネタリウムは、移動の都合上、小さいシステムです。そのぶん、アットホームな雰囲気で投影を行います。
ドームの外で簡単な案内をしたあと、ドームに潜り込み、解説者を取り囲むように内側を向いて床に座ります。解説者がとても近いので、直接会話をしたりしながら進行をすることが多いです。互いの顔が見えるのも特徴で、観覧者が少ないときは、みんなで寝転がって星を見るなんてこともやれます。
投影内容は、その日の星空の様子が中心で、どんな星が見えているか、星や星座の探し方、北極星を中心に巡る星の動きなど、すべて生解説になります。また、キャンプで星空の下で語り合うような感じで、星や宇宙に関する四方山話をしていきます。このとき、解説者の知識や話術などの力量がダイレクトに出るのが特徴です。そのため、大阪市立科学館の学芸員が行けない場合でも、他館のプラネタリウム担当者など、優秀な解説者に投影をお願いしています。

ドームに潜りこみます     これからプラネタリウムの投影が始まります

「モバイルプラネタリウム」と科学館のプラネタリウムの違いは?

まず、一番の違いは大きさですね。科学館のモバイルプラネタリウムは、50人が定員ですが、科学館に設置してあるプラネタリウムは、定員300人です。
科学館のプラネタリウムは惑星や月の動きも再現できますし、夕焼けや朝焼け、流れ星やオーロラの再現などもできます。しかし、モバイルプラネタリウムは、基本的に星を映すことしかできません。
ただ、最近は高性能な小型プラネタリウムも登場していますので、状況が変わりつつあります。今後、モバイルプラネタリウムでも月や惑星の動きを紹介したり、投影できる星の数ももっと多くなるかもしれません。

どんなところで投影するのですか?

モバイルプラネタリウムを搬入・設置することができれば、たいていのところでプラネタリウムを投影することができます。いままで、学校の体育館や市民ホール、シティホテル、ショッピングモール、美術館、図書館などに行きました。
設置には縦横10m、高さ4.5mの空間が必要です。縦横は多少変形していてもなんとかなります。また通常の100Vコンセントで100W程度の電気が使えればOKです。
あと、重要なこととして、屋外はダメです。屋内でも、風や直射日光があたるところでは実施できません。熱くなりやすいので、夏はクーラーがないとつらいですね。設備がないところでは、スポットクーラーを別途レンタルして行ったこともあります。
なお、原則として、実施場所は、大阪の通勤圏に限っていますが、淡路島をこえて高松まで行ったこともあります。

ショッピングモール         学校の体育館

また、学校などでの教育目的の他、会社の顧客サービスでも、結婚式のアトラクションでも、プラネタリウムを行ないます。ただ、科学館の設置目的である、科学の教育普及に反するような依頼がもしあればお断りしますが、今までそういうことはありませんでした。

これから、どのような活動をしていきたいですか?

大阪市立科学館モバイルプラネタリウムは、これまで2年間で30回60日ほど行ってきましたが、もっと多くの要望に答えられるようにしていきたいですね。現在は2機のモバイルプラネタリウムを運用していますが、運用数を増やし、七夕などのハイシーズンには、同時に何カ所でも対応できるようにしたいです。
また、教会や寺院、病院、カフェやライブハウスなど、これまで実施したことがない場所や施設での運用もしたいと思っています。
さらに、機能もあげていきたいですね。より小型で小さなスペースで行えるドームの開発や、演出機能をあげた投影機の開発など、見られる中身も充実させていきたいです。これは現在も着々と行っています。
「モバイルプラネタリウム」についての問い合わせはこちら
モバイルプラネタリウムは、とても大切なことですが、有料です。大阪市内に出張し3回投影解説を行うと、運送費、解説者の派遣費用などをいれてだいたい12万円くらいになります。これらは実費の積み上げなので、運送を自分で手配したり、解説者を自分で手配すれば、その分は割り引きます。
問い合わせは
大阪市立科学館内、大阪科学振興協会・企画広報グループまでどうぞ。
e-mail : jigyo[アットマーク]sci-museum.jp ※[アットマーク]を@へ変換してください。
電話 06-6444-5184 FAX 06-6444-5657 です。
担当は、永原(ながはら)、渡部(わたなべ)です。


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