スタッフだより

第81回 「はやぶさ2」 プラネタリウム&企画展について

2014年9月27日

まず、「はやぶさ2」について教えてください。

「はやぶさ2」は、「はやぶさ」の後をうけて計画されている、小惑星の探査計画・探査機です。はやぶさ は2003年に打ち上げられ、小惑星イトカワを探査し、2010年に小惑星イトカワの石を持ち帰りましたが、はやぶさ2 も、1999JU3という小惑星へ向かい、その石を地球に持ち帰る計画です。

はやぶさ2 の打ち上げは、2014年の12月頃を予定しています。その後、2015年12月に地球スイングバイを行い、小惑星1999JU3へ到着するのは2018年夏頃、地球へ帰還するのは2020年12月と計画されています。

はやぶさ2 と はやぶさ の違いについて教えてください。

はやぶさ2の機体の設計は、基本的には はやぶさ の設計を受け継いでいます。ただ、はやぶさ のときには、いくつもの機器トラブルがあったので、同じトラブルが発生しないように、改良をしたり予備の装置を搭載したり、という変更がされています。また、外見上で一番大きな変更点は、地球との通信を行うための大きなアンテナが、パラボラアンテナから平面アンテナに変更されて、さらに2枚に増えたことです。
目的地である小惑星も大きく違います。はやぶさ が訪れた小惑星「イトカワ」は、小惑星の中ではもっともありふれた「S型」という分類の小惑星でした。今回 はやぶさ2が目指す小惑星1999JU3は、「C型」という分類の小惑星です。C型小惑星の表面の岩石は、液体の水の影響を受けた鉱物や、アミノ酸などの生命の材料となる有機物を含んでいる岩石である可能性が指摘されていますので、地球の海や生命の材料についての新しい発見があるかもしれません。
また、はやぶさでの探査成果として、小惑星の表面の岩石は、「宇宙風化」という現象が起きていて、表面だけがわずかに変質していることが明らかになりました。そこで、はやぶさ2では、「衝突装置」という装置を持って行き、小惑星の表面にクレーターを作って、変質していない岩石を採取することも計画されています。

プラネタリウム「はやぶさ2、小惑星へ!」の見どころを教えてください。

プラネタリウムの特徴は、なんと言ってもドームいっぱいに写る映像です。太陽系の中であまり意識されない小惑星という存在のことや、はやぶさ2が実際に小惑星でどのような活動をするのか、といったことが、映像で目の前に繰り広げられます。はやぶさ2が打ち上げから3年半かけて小惑星に行くのに、帰りは1年で帰って来れることも、実際に地球と小惑星と はやぶさ2 の動きを見ていただけると、納得ができることと思います。
また、初代はやぶさ の帰還の映像も、その時のオーストラリアの星空に合わせて、実際に夜空を駆け抜けていった流れ星のスピード感をご覧いただけるのも、一つの見どころです。

企画展「はやぶさ2」の見どころも教えてください。

H-2Aロケット

イオンエンジン

まずは、池下章裕氏による はやぶさ2のイラストで、はやぶさ2がどのような旅を計画しているのか、イメージを掴んでください。
そして、はやぶさ2の機体全体の模型をはじめ、ロケットの模型やイオンエンジンやターゲットマーカーの模型などで、実際の機器がどんなものか、イメージが具体的になってくると思います。また、目的地の小惑星の表面がどのような石でできているのか、現在の地球からの観測で、一致する可能性が高いと考えられている種類の隕石も展示しています。
さらに、小惑星探査をはじめとした宇宙・太陽系・小惑星・隕石の研究を行っている大学の研究室についても紹介しています。はやぶさ2が小惑星に到着するのは今から約4年後、帰還するのは今から6年後です。その頃、そういった大学へ進んで勉強したい!と考えている皆さんに、大学での研究の雰囲気を少しでも感じ取っていただければ、と考えています。

最後にひとこと


飯山学芸員

はやぶさ2が計画通り打ち上がれば、きっとニュースで取り上げられると思います。その時に、「はやぶさ2」の名前だけでなく、少しでも具体的な内容を知っていれば、より親近感を持って、はやぶさ2の地球出発を見送ることができるでしょう。 誰も行ったことのないところを冒険する、誰も知らなかったことを発見する、そういったワクワクする感覚を、はやぶさ2に携わっている研究者だけでなく、一人でも多くの方と共有したいな、と思っています。
科学館学芸員飯山青海のページ


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