第142回 ミニ企画「積み木のルーツ~フレーベル『恩物』」展
2020年1月31日
今回のスタッフだよりは、3月1日(日)まで展示場4階で開催中のミニ企画展について、担当の石坂学芸員に聞きました。フレーベル『恩物』って何ですか?

フレーベルは、子供(幼児)には生まれつき神的本質(理想的な姿、人間としての能力)が備わっているのだから、適切な環境を与えれば、自ら能力を発達させると考えていました。花が蕾の時から将来咲く花の構造をすでに備えていて、水や光、養分などを与えれば、ちゃんと咲くのと同じだというのです。
そして、子供の教育で重要なのは指導することや知識を詰め込むことではなく、自由に遊ぶことだと考え、そのための10種類の教材を考案しました。それが「恩物(おんぶつ)」です。ドイツ語では「Gabe」、英語では「Gift」で、子供の能力を神に近づける(発達させる)ための「贈り物」という意味です。
その恩物が積み木のルーツなんですか?

ちなみに、第1恩物は球(ひも付きのボール)、第2恩物はぶら下げた球と円柱と立方体、第7恩物は色板(平面上の見立て遊び)、第8恩物は細い棒(スティック)、第9恩物は環、第10恩物は粒(ビーズ)です。
どうして科学館で積み木の展示をしようと思ったのですか?

また、バランスの取れた美しい造形をくみ上げることは芸術活動でもありますし、美しい作品には左右対称という数学的な要素もあります。建築のシミュレーションにも使われたことがあります。
科学館でも、もう20年ぐらい前から展示場の2階に「カプラ®」という積み木で遊べるコーナーを設けています。おもしろいことに、子供だけではなく大人のお客様もカプラに夢中になっています。積み木は世代を問わず、科学を楽しめる優れたアイテムなのです。
実は2年ほど前、ドイツ博物館へ資料調査のために訪問した際、「Scientific Toy(科学的玩具)」というコーナーに展示されていたのが積み木とブロックだったことに驚きました。

どんなものが展示されているのですか?

また、フレーベル恩物の流れを汲む、現代の積み木もいくつか展示しています。そうした現代の積み木で実際に遊べるコーナーもあります。
最後にひとこと

石坂千春学芸員