スタッフだより

第90回国際光年協賛「花火の色とひかり展」

2015年7月4日

今回のスタッフだよりは、7月1日から公開が始まった「花火の色とひかり展」について、企画・制作を担当した岳川学芸員に話を聞きました。 

 

花火と化学って、なかなか結びつかないんですが・・・

よく燃える理由も、美しい色や光が見える理由も、実は、化学反応なんです。
花火は情緒で楽しむものだから、化学なんて無粋!なんておっしゃらずに、お付き合いいただければ嬉しいです。きっと、花火が大好きなみなさんも、これまでよりもっと深く深く花火を楽しめるようになっていただけると思います。
夏休みの自由研究のテーマにも、おすすめです!(←最後に研究のヒントを書きました)

「花火の色とひかり展」の概要を教えてください

期間  7月1日(水)~8月30日(日)  各日9:30~17:00
場所  大阪市立科学館 アトリウム
料金  無料
詳しくは、こちら をご覧ください。

そもそも花火ってどういうものですか?

花火は、法律用語では「煙火(えんか)」と言います。花火には、かならず火薬が使われています。その火薬を燃焼・爆発させて、光や色、音や煙、かたち、を楽しむものです。

花火の美しいひかりは、どんなしくみで出ているのですか?

火薬に、鉄、アルミニウム、チタン、などの金属を混ぜています。金属は熱くなると、光ります。「黒体放射(こくたいほうしゃ)」と呼ばれる、熱くした物体から出てくる光で、温度が低いときは赤っぽく、温度が高いほど青白く光ります。鉄は古くから花火に使われていて、明るいオレンジ色の光を出します。アルミニウムやチタンは白くてまぶしい光が出るので、光輝剤(こうきざい)とも呼ばれます。火薬だけを燃やしても、濃いオレンジ色の光が出ます。これは火薬の成分の炭の粉が燃えている(熱くなっている)光です。ちなみに、バーベキューをすると備長炭が赤く光ったり、火の粉が散ったりしますが、そのときの光も、同じ原理、同じ色です。

鉄の粉をバーナーの火に振(ふ)りかけると、明るいオレンジ色の光を出します。(実験:岳川有紀子)

花火のカラフルな色は、どんなしくみで出ているのですか?

こちらも、金属のおかげです。ただ、「光」のしくみとは違って、「炎色反応(えんしょくはんのう)」という化学反応を利用しています。金属には、熱くなったときに、それぞれ特有の色の光を出すものがあります。花火で使う基本の4色は、赤(ストロンチウム化合物)、黄(ナトリウム化合物)、緑(バリウム化合物)、青(銅化合物)で、これらを掛け合わせてさまざまな色を作ります。特に鮮やかな青色は最近出せるようになったので、花火大会でも青色をよく見るようになりました。

銅の炎色反応では、緑色~青色を作ることができます。(実験:岳川有紀子)

もっと花火の化学を知りたい方へ

花火の美しさを演出する化学反応に感動して、今から15年前に、オリジナルサイエンスショー「花火の大実験」を開発しました。それ以来、夏になると、実験や企画展などで、化学の面からも花火を楽しんでいただける活動を続けてきました。そしてこの度、お家に帰ってからも花火の化学に触れていただけるように、ミニブック「花火の化学」を書きました。子供のお小遣いでも買えるように、100円(税込)にしました。科学館のミュージアムショップで販売中です。本屋さんでは売っていませんので、ご注意ください。

ミニブック「花火の化学」もくじ
はじめに
花火のよくあるQ&A
花火の歴史
花火の化学 花火と酸素
花火の化学 花火の色と光
打上花火のしくみ

花火の色とひかりの関連イベント

もっと詳しく花火の化学を知りたい方のために、8月6日(木)に、スペシャル講演会とワークショップを開催します。
今回の展示にもご協力いただいた、葛城煙火株式会社の花火師、古賀章広さんにもお越しいただいて、花火大会の裏側のおはなしなどもしていただく予定です。
お申し込み、お待ちしております(応募多数時は抽選です)。

ミニブック「花火の化学」もくじ
はじめに
花火のよくあるQ&A
花火の歴史
花火の化学 花火と酸素
花火の化学 花火の色と光
打上花火のしくみ

自由研究のテーマを花火にしようと思うのですが、ヒントはありますか?

おすすめの方法は、
①科学館の「花火の色とひかり展」を見学する
②科学館のエキストラ実験ショーで「花火の大実験」を見学する
※実験は不定期なので、こちら で確認してください
③科学館のミュージアムショップでミニブック「花火の化学」(税込100円)を買う
④家で花火をしたときに、燃え方や、色などを、よく観察してスケッチする
⑤花火大会を見に行ったら、打ちあがった花火の形や色をよく観察してスケッチする(写真を撮る)
⑥花火のスケッチとミニブック「花火の化学」をくらべながら、花火の色やひかりに使われている金属を考えてみる。花火のスケッチに金属名を書き加えてみると、なおOK。
⑦さらに、花火の作り方や、歴史などを調べてみると、きっと、すばらしい自由研究になるでしょう。
注意:花火には火薬が使われています。大変危険なので、花火遊びをするときは、注意事項をよく読んで、正しい方法で大人の方といっしょにしてください。花火の分解はぜったいやめましょう。

最後にひとこと


岳川有紀子学芸員

私も花火が大好きです! 花火の化学を勉強するようになってからは、「鮮やかな青色は銅を上手に配合してるな…」という楽しみ方もできるようになりました。 そして、花火師の古賀さんとお仕事させていただくようになってからは、一瞬で消えてしまう美しい花火を作るために、花火師さんたちが化学反応やデザイン、演出を考えて考えて作っていることに感謝するようにもなりました。 「花火の色とひかり展」が、みなさんの花火の楽しみ方の新しいスパイスになれば、こんなに嬉しいことはありません。


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