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スタッフだより

科学館で働くスタッフを紹介します

科学館ってどんなところ? どんな人たちが働いているの? などなど、いろいろな角度から大阪市立科学館をご紹介します。

第147回 南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究―

2021年3月26日

 今回のスタッフだよりは、南部陽一郎生誕100周年記念 企画展示「ほがらかに」―南部陽一郎の人生と研究― の企画を担当した上羽学芸員に話を聞きました。


南部陽一郎博士は何をした人ですか?

 南部陽一郎博士(1921-2015)は、2008年にノーベル物理学賞を受賞した理論物理学者です。素粒子物理学における対称性の自発的破れの機構の発見についての業績で受賞しました。今年は生誕100周年にあたります。


素粒子物理学とは何ですか?

 素粒子とは、物質をどんどん小さく分けていき、もうこれ以上分けられない!という物質の単位です。どんな物質も「原子」という小さな粒子(つぶつぶ)の集まりですが、その「原子」とは、さらに小さい「陽子」「中性子」「電子」という粒子の集まりなのです。なんと「陽子」「中性子」は、実は「クォーク」とよばれる粒子が3つ集まってできており、もうこれ以上は分けることができないと考えられています。このようなクォークなどの粒子が素粒子です。ちなみに電子はもうそれ以上分けられないので、素粒子です。
 素粒子にはクォークをはじめとする「物質をつくる粒子」のほか、「素粒子の間にはたらく力を伝える役割をする粒子」、そして「物質に質量を与える役割をする粒子」の種類があります。これら素粒子について調べ、宇宙や物質のしくみを明らかにしようとするのが、素粒子物理学です。


「対称性の自発的破れ」とはどのようなものですか?

 物質には重さ(質量)があります。なぜかというと、物質をつくる素粒子に質量があるからです。実は宇宙が生まれた瞬間には、素粒子に質量はなかったのです。どうやって素粒子が質量をもつようになったのかが、素粒子物理学における最大の難問のひとつでした。その難問に対して素晴らしいアイデアを出したのが、南部博士です。そのアイデアこそが、「真空における対称性の自発的破れ」です。
    残念ながらこの理論はとても抽象的なものであり、私のレベルではみなさんに説明することはできないのですが、大阪市立科学館には、この「対称性の破れ」を楽しく遊びながら体験できる展示があります。「磁石のテーブル」と言って、科学館の齋藤館長が開発した展示です。なんと2005年に南部博士も体験しています。



企画展示の目玉はなんですか?

 展示のなかでいちばんに目を引くのは、南部博士の名が刻まれたノーベル賞メダルの公式レプリカです! ノーベル賞メダルの複製は、ノーベル財団にしか認められておらず、受賞者は本物メダルのほか、公式レプリカを3枚まで申請して受け取ることができるのですが、南部博士は1枚しか複製を申請しなかったそうです。
 また、博士が使っていた直筆のノートや、研究についてのやりとりをした手紙などをお借りしています。ご覧いただくと、とても丁寧で読みやすい字を書かれており、几帳面さが伝わってきます。ノートには走り書きのようなものがなく、頭の中がきれいに整理されていたのでしょう。
 さらに、人類の科学史の流れを紹介するエリアでは、ニュートン『プリンキピア』第2版、ケプラー『新天文学』初版など、貴重な書籍が一堂に会します。なかなかない機会ですよ!

 

最後にひとこと

上羽貴大 学芸員

2021年3月28日(日)まで、南部陽一郎博士の生い立ちと素晴らしい業績について親しみやすく紹介する企画展示「ほがらかに ―南部陽一郎の人生と研究―」を、展示場4階の特設エリアで開催中です。多くの方々のご協力で、博士の直筆資料や、科学史に輝く貴重書籍など、ふだんは見ることのできない貴重資料が集まりました。ぜひ、お気軽にご覧ください。また、企画展示にあわせて開催した講演会・スペシャルナイト「物理学者・南部陽一郎と宇宙」を、YouTubeでアーカイブ配信しています。こちらもあわせて楽しんでいただければうれしいです。
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