第89回プラネタリウム「天の川をさぐる」
2015年6月5日
今回のスタッフだよりは、プラネタリウム「天の川をさぐる」のみどころについて嘉数学芸員に話を聞きました。どんな内容ですか?
夏の夜、空が暗くて星がよく見える場所で夜空を眺めると、天の川を見ることができます。天の川を肉眼で見るとぼんやりとした姿をしているので、雲や霧のように感じられます。昔から人々は、この天の川の正体は何なのかと考え、その謎を解きあかそうとしてきました。
今回のプログラムでは、人類が天の川の正体を探求してきた歴史を紹介すると共に、現在までに明らかになった天の川の姿をご紹介します。

写真:天の川銀河のすがた
ⒸGOTO INC/Evans & Sutherland
昔の人々は、どんなふうに天の川をさぐってきたのですか?
昔の時代は、天の川の正体がわからなかったので、人々は天に流れる川やミルクなどという神話や伝説を作って説明していました。
その後、15世紀頃から色々なことがわかってきました。まず、大航海時代に南半球へ渡ったヨーロッパ人が、天の川が夜空をぐるりと取り巻いていることを発見します。その後、望遠鏡を使って、天の川が星の集まりであることや、それらの星々がどのように宇宙に分布しているか、ということを明らかにしていきました。プログラムでは、これら探求の歴史も紹介します。

写真:江戸時代に出版された『銀河草紙』(1835年刊)に描かれた天の川と、おりひめ・ひこぼしのすがた
今では、天の川の正体はわかっているのですか?
天の川を作る星々の距離がわかるようになり、宇宙の地図を作ってみると、天の川は、約2,000億個の恒星があつまって形作る「天の川銀河(銀河系)」という巨大な天体であることがわかりました。さらに、天の川銀河と同じような天体「銀河」が、宇宙にたくさんあることもわかっています。
プログラムの見どころは?
プラネタリウムの機能を使って、地球を飛び出して、天の川の星々を宇宙からながめるシーンです。さらに、宇宙にたくさんある銀河の世界を旅行して、広大な宇宙のどこに地球が位置しているのかを見るシーンもあります。
地上から一瞬のうちに数億光年のかなたまで出かけ、天の川銀河の姿や、たくさんの銀河をご覧いただくシーンは、実際には絶対できない体験ですから、おすすめです。
最後にひとこと

嘉数次人学芸員